内容説明
仏教哲学事始め。仏教をめぐる思考の風景を、根本から転換する方法序説。ディグナーガ、ダルマキールティvs.カント、フッサール…仏教の認識論と西洋哲学との、スリリングにして実質的な対話。
目次
序章 比較思想から見た仏教認識論
第1章 ダルマキールティと仏教認識論の伝統
第2章 仏教認識論の基礎―プラマーナとは何か
第3章 仏教認識論と所与の神話
第4章 知覚と存在―独自相管見
第5章 構想力と実体視
第6章 自己認識と主観性
終章 信仰と理性の中道を目指して
著者等紹介
護山真也[モリヤマシンヤ]
1972年生まれ。専攻、仏教学、比較思想。ウィーン大学博士課程修了(Dr.Phil.)。現在、信州大学人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Go Extreme
2
比較思想から見た仏教認識論 ダルマキールティと仏教認識論の伝統:仏教認識論 ダルマキールティ 仏教認識論の基礎─プラマーナとは:真実智の探求 認識の正しさの基準ー欺きのなさ・新規情報性 仏教認識論と所与の神話:所与の神話 ダルマキールティの有形象認識論 仏教認識論は基礎づけ主義なのか 知覚と存在──独自相管見:独自相と個物 感覚要素・原子の集合体としての独自相 宗教的経験における独自相 構想力と実体視:実体視と仮構 自己認識と主観性:自己意識と自己認識 想起に基づく自己認識 信仰と理性の中道を目指して2021/04/19
Sin'iti Yamaguti
1
仏教論理学の大成者であるディグナーがとダルマキールティの理論を、西洋哲学との対比で論究する。かなり難しい。終章でいきなり親鸞の二種深信がでてきてびっくりするが、著者は浄土真宗本願寺派の生まれ。なぜ仏教を信じるのか、その「なぜ」に応えるために仏教での認識論を極めたいと思った、とのこと。仏教はきわめて理性的な宗教だと思うが、それでも100%そうだとはいえない。そこで著者の跋として、「未来の仏教徒の歩むべき道は信仰と理性の中道にこそある」と。2024/10/17