内容説明
情報の在り方が世界の在り方を決める。「情報の存在論」から「情報の生成論」への転換を示す!近代西欧文明のグローバル化は、先進国には豊かな「物質文明」をもたらした反面、「エネルギー・食糧・地球環境問題」と「格差の問題」という深刻な地球的課題を生じさせた。西欧文明のグローバル化の中核には自他分離の二元論に基づく近代科学技術があり、さらに、実証主義・功利主義なる哲学や倫理思想と結びついて、人間の諸活動にも適用された。行きついた先が新自由主義やリバタリアニズムで、結果、世界を過剰に分断した。環境と調和する持続可能な世界は「自他分離」の物質科学に代わって、「自他非分離」の生命科学とその方法論によって可能になる。科学=知の根源を問う、哲学/社会科学、経済への示唆ともなる書。
目次
1 生命科学―自律性
2 述語性の科学―情報生成の論理
3 系統発生的に見た生物の適応戦略
4 述語性の科学―適応の脳科学
5 産業革命と科学革命
6 無限成長の翳り
7 実証主義と功利主義
8 情報革命
9 人工知能
10 物質科学から生命科学へ
11 述語性の科学技術―ホスピタリティ技術
著者等紹介
矢野雅文[ヤノマサフミ]
1946年福岡県生まれ。東北大学名誉教授。74年九州大学大学院理学研究科博士課程満期修了、東京大学薬学部助教授等を経て92年より東北大学電気通信研究所教授。07年から10年同研究所長。専門は生命情報学。生命は自然との一体性の上に成り立つので、その論理の解明には自他分離の2元論による物質科学から自他非分離の生命科学へパラダイムシフトが必要だと気付く。そこで、情報が爆発するインターネット社会に生きる現代人に欠かせない「柔らかい情報処理」原理の研究を開始する。表象主義による「情報の存在論」から脱却したセマンティック情報を処理する「情報の生成論」を探求することで、現代のアポリアである「不良設定問題」に取り組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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