目次
はじめに 留学するということ
1(ロシア留学のきっかけ;留学生活の始まり;先生はナターシャ ほか)
2(コムナルカでの生活のはじまり;ピアノ探しの旅;三年生の授業 ほか)
3(伴奏法の卒業試験;室内楽の試験;次は教育法 ほか)
おわりに その土地になじむということ
著者等紹介
坂本里沙子[サカモトリサコ]
福島県いわき市生まれ、神奈川県大磯町育ち。桐朋女子高校音楽科卒業後、2012年、ロシア国立モスクワ音楽院入学。2014年、スクリャービン国際コンクール第2位、若いピアニストのためのリガ国際コンクール第1位。2019年、ロシア国立モスクワ音楽院卒業、ロシア国家演奏家資格を取得し帰国。国内外の多数のコンサートに出演している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
65
桐朋女子高校を卒業後、モスクワ音楽院に留学したピアニストの留学生活を綴ったエッセイ。少し幼さの残る文章だけど、著者の性格の良さが滲み出ていて、温かい気持ちになれる。ピアノの実技だけでなく、伴奏法、室内楽、調律、ピアノ教育法、歴史など、芸術を総合・徹底的に教え込むロシアの音楽教育の厳しさには、畏れ入るばかりである。当初はロシア語も殆ど話せなかったけれど、境遇や周りの人を恨むことなく健気に困難に立ち向かう著者の姿勢は、とても美しい。厳しい環境に対しても感謝と努力を忘れないこういう人の演奏を、是非聴いてみたい。2020/11/01
tom
12
優秀なピアノ弾きのお姉さんが、誘われてモスクワ音楽院に留学したときの記録。音楽大学というのは、自分の音楽だけをしているのではなくて、合奏や音楽史はともかく幼児への授業法までお勉強するとのこと。科目の多さには少々驚く。でもまあ、この本を読んでの感想は、大変でしたねえということくらい。2020/12/27
吉村花緒
1
高校卒業後、世界最高峰のモスクワ音楽院に留学した筆者。英語圏やヨーロッパと異なる国民性や文化、風習がおもしろい。特に厳しい音楽史の先生の話が印象深く、筆者は繊細そうな容姿をされているのに思いの外気骨があるのが素晴らしいと思った。過酷な試験を乗り越えて留年せず卒業したのはすごい。道は日本では道筋が既にわかっているものだが、ロシアでは探っていくものという文が素敵で、ロシアの荒涼として広大な領土を連想する。人生観にも通じるだろう。留学の大変さや実り多い学びと、ロシアの音楽院についての本。いつか演奏をお聴きしたい2021/09/05