内容説明
これは犬である、と言い張れば、犬です―。今もっとも注目を集める詩人の、「言葉」をめぐるエッセイ集。
目次
くちぶえ、ソロで
犬ではないと言われた犬
とありますが、どんなこころですか
矮小な手のひら
しゃべれない
ひとりで学ぶことについて
ほら、フレディ
ドアノブのないドア
ひとの子に
お前とポエムやるの息苦しいよ
微調整、微調整
雲のかよひ路
事象がわたしを
湯船に浸かる
かわいくはないよそもの
後ろ歩き
ミケ
著者等紹介
向坂くじら[サキサカクジラ]
詩人。1994年名古屋生まれ。「国語教室ことぱ舎」(埼玉県桶川市)代表。Gt.クマガイユウヤとのユニット「Anti‐Trench」朗読担当。慶應義塾大学文学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
108
「いなくなくならなくならないで」が面白かったので手にとってみた。図書館の返却期限が迫っていて、深く読み込めなくて少し難しく感じたけど、とことん言葉と向き合い、言葉を大切にされてる方なんだなぁと思った。吉原幸子さんの「これから」という詩がとても良かった。💘書いたり読んだりすることの、なにより、人間関係でないところが好きだ。 2024/08/29
ネギっ子gen
52
【書いたり読んだりすることの、何より人間関係でないところが好き】詩人で、発達障害者の著者による、「言葉」をめぐるエッセイ集。…あのですね、小生は棺桶に片足突っ込むお年頃なんで「名著古典限定の読書にせねば」とmustに呪縛された人生を送ってきた者は思ったりしてる。でも…ついつい、読メのレビューに魅了されて、これまで未読だった作家作品を読んでしまう。で、「推し」ってぇのに鬼同意できる傑作も、これが結構ある。この本もそう。っていうかもう北大路ケメコ先生クラスの衝撃。まいったよね~。では引用で、その凄さを―― ⇒2025/03/06
メタボン
23
☆☆☆☆ 蜂飼耳、伊藤比呂美など詩人のエッセイが好きだ。言葉に対する向き合い方が独特なので、ハッとすることが多いからだ。「いなくなくならなくならないで」の作者向坂くじらの本書もそう。子供たちに詩を教える「国語教室ことぱ舎」を主宰する彼女。その交流の中で、書くことの意味を問い続ける。これからどんどん面白く深くなるだろう彼女の作品に期待したい。2024/10/06
だのん
19
言葉に対して手加減せず、真正面から向かっていく姿に驚いたり納得したり、とても気持ちのよいエッセイでした。国語教室で子どもたちに教えているくじらさん、「教える」とは何だろうと悩む姿が痛々しくも頼もしいです。作文や詩は自由に書けと言われますが、それが一番難しいよ、と頭の固まってしまった私は思いますが、まずは日記を書き始めています。2024/12/29
あおでん@やさどく管理人
18
くじらさんのエッセイ集第2作。今回は自身が開いている国語教室や詩の教室での「言葉」をめぐるエピソードが多い。「事象がわたしを」にあるように、言葉で書くことはそれ以外を書かないことだし、全てを言葉で書き切ることは不可能。それでも、くじらさんのエッセイは、短い言葉では表現できない「何か」を何とか言い表そうとする挑戦が見え隠れしている気がする。2024/07/31