内容説明
私たちは社会を賢くしなければならないのであって、あなたが賢くなる必要はない。『平成転向論―SEALDs鷲田清一 谷川雁』著者が、哲学対話をきっかけに考えた「悪口」という戦術。
目次
第1章 感情論(男根主義;感情;連帯;力;問題)
第2章 悪口論(職場で;政治運動で;悪口;狂信者)
第3章 (生き)恥論(恥;罵倒;仲間;死;裏切り)
第4章 言行論(シェアハウス;シニシズム;技術;臨床哲学)
第5章 何をいかに受け継ぐべきか(対話;嘲笑;社会;物語;だれでも、いつでも、どこでも;ブーメラン)
著者等紹介
小峰ひずみ[コミネヒズミ]
大阪府生。大阪大学文学部卒。第65回群像新人評論賞で「平成転向論 鷲田清一をめぐって」が優秀作に選出される(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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hasegawa noboru
18
<世界や社会を変えようとする人間の考える戦術>技術、方法を論じた「ハウツー本」であると繰り返し著者は断っている。<本書を研究書や思想書として読まないでほしい>とも。<私は哲学者ではなく、活動家でありたいと願っている><最後に拠り所にすべきは><「このクソみたいな社会を変えてやる!」という気持ちだ。シンプルだが、それだけだ><いまの世界はおかしい!いまの人間関係のあり方はおかしい、いまの経済はおかしい!変えねばならない!結論はつねにこうである。それはわかった。では、著者は何をやっているのか?それがわからない2024/10/29
uehara
4
「政治」は悪しきものをもたらし、社会変革を志向する運動も例外ではない(むしろ運動外よりも酷いことも)。しかし、社会運動は続くし、続けざるをえない。だから悪しきものをもたらす「政治」の法則を認識し、適用することで解毒剤たりうる。このような「やり方」(by向井孝)は人間関係の変革を、強い運動をもたらす。うまい言い方が思いつかないが、社会運動で「傷ついた」人にとっても重要な本だと思う。2024/09/22
ひつまぶし
3
社会運動など流行らない社会で、若き活動家が何を経験し、何を読み、どう考えてきたかを知ることができた。名前は知っていても読んだこともない思想家について「なるほど、こんな議論があったのか」と勉強になった。著者にとっては、批判対象としつつも臨床哲学が拠り所の一つとなっている。著者が言うように、哲学が臨床的であるなら社会運動と地続きになるほかないように思う。そして、それは大学という制度に収まる形では構想しえないだろう。資本主義であれ大学であれ、外部を構想しながら実践を積み重ねることに意識的である必要がある。2025/01/06
Go Extreme
2
悪口論ー脅しと嘲笑に対抗する技術 感情論: 男根主義 罵倒された人間→ひとく他人を罵倒 感情 恐怖と安堵を譲り渡し生きる隷属者 連帯 臨床哲学 力 政治を支える経済構造が問題 問題 あなたの感情だけがあなたを導く 悪口論: 職場で 悪口と称賛によるグループ形成 政治運動で 悪口 狂信者 レーニン (生き)恥論: 恥 罵倒 仲間 死 裏切り 言行論: シェアハウス シニシズム 技術 臨床哲学 何をいかに受け継ぐべきか: 対話 嘲笑 社会 物語 誰でも、いつでも、どこでも ブーメラン 庶民ごときに何が見えるか2024/09/26
kangetsu
0
本書(特に第4章)は言ってしまえば元も子もない正論で「権力者」や「庶民」や「大学人」を批判して活動家を正当化すると同時に、その言葉によって自らの首をも絞めるものであり、こうした根本的に矛盾した生き方をする主体が活動家なのだということである。しかし、そうした在り方を著者は肯定する。矛盾した在り方を自覚的に生きるのが活動家なのだ。正しく「生き恥」をかくのをよしとするのが活動家なのだ。 こうした言葉は、「悪口」にさらされ続ける活動家へ、対抗する技術と勇気を与え、背中を押してくれるものであると思う。2024/12/23