内容説明
人生詰んだ!?そんな時、方丈記は役に立つ。
目次
1 あたらしい方丈記(大原扁理・監訳)
2 コロナ禍に方丈記を読みながら考えたこと(日々は無常のレッスン;私たちが社会に依存する時、社会も私たちに依存している;人間らしさとは何か;いいじゃないですか、大したことない人生だって)
3 方丈記原文(総ルビ)
著者等紹介
大原扁理[オオハラヘンリ]
1985年愛知県生まれ。25歳から東京で週休5日・年収90万円の隠居生活を始める。31歳で台湾に移住し、3年半隠居生活を実践するが、現在はコロナの影響で帰国(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぽてちゅう
28
人はいつか死ぬ。なのに死にそうになると動揺する。未知への恐怖?未練?その場しのぎで先送りしてきた人生の宿題を、無常を綴った随筆『方丈記』を通じて考える。お金を人格化しお金が喜ぶ使い方を。自分が必要な存在かどうか決めるのは自分。作者らしい言葉もあるが本書の肝は『死生観』だ。人間の死亡率は100%。いかに死なないようにするかより、明日死んでもいいように今をどう生きるかだ。カナダのインディアンは良い死に顔になるよう守護霊に助けを求めるとか。泣いて生まれてきたのだから死ぬ時は笑顔で。宿題の答えにならないだろうか。2025/01/08
ひと
21
現代の若者による、方丈記の新訳と方丈記をとっかかりとした現代社会や生き方に関する考察。実体験に基づいた生き方論は、こんな生活いいでしょ、羨ましいでしょ?というマウント取りが透けて見えるものと、こんな生活ですが何か?と脱力してるものとがある気がします。本著は後者かと。経済中心の世の中に翻弄されている身としては、若くしてこの境地に至ったことに感心します。しかも、これだけ家族や地元へのヘイトがある中で…。本当に必要なものを見極めて自分でできることを増やして生活をシンプルにしたいです。あとは家族とのバランスかな。2024/08/27
あまね
20
期待以上に面白かったです。大原さんが訳したカジュアルな方丈記は読みやすく、他の訳文も読みたくなりました。そして、800年前も今もさして変わっていないことを改めて思い返し、そう言えば『韓非子』を読んだときもそんなこと思ったなぁと思ってみたり…。ともあれ、鴨長明の生きた時代と今、私たちが生きる時代はよく似ていて、それでも人は命を繋ぎ生き抜いてきたことに勇気づけられます。また、『今を生きること』の大切さを大原さんは分かりやすく説かれ、死生観も共感するところが多かったです。他の著者も読んでみたくなりました。2022/06/05
カタコッタ
19
書名に惹かれて読みました。カジュアルながら奥深い書き方が心地よく一気に読みました。平安時代から日本は天災に苦しめられる事を繰り返しています。明日の事が分からない世の中がこの豊かな日本という国。無常、この意味が少し分かってきた年齢です。タイミング良く方丈記に出会えました。2024/01/13
ykshzk(虎猫図案房)
17
著者の訳による鴨長明の方丈記の部分は飛ばしよみ。コロナ禍で自分が困ったこと=社会や他人に依存してきたこと、と気づき、著者が最も困ったのは、図書館の休館により読める本が減ったことだそう。また、経済活動が封鎖されてもへこたれなさそうな著者だが、自分が自由に暮らせるのは、移動の自由と親の健康があったということにも気づかれたそう。ご家族の介護などで、お金だけでなく「時間」も自分のものでは無いのだと。コロナ禍で著者の得た様々な気づきは、鴨長明の時代の人間と基本的には変わっていない現代の私たちに考える機会をくれる。 2022/07/15