灯光舎本のともしび
シュークリーム

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  • サイズ B6判/ページ数 160p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784909992543
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

目次

漱石先生臨終記
長春香
昇天
掻痒記
亂れ輪舌FOT
寺田寅彦博士
シュークリーム

著者等紹介

内田百〓[ウチダヒャッケン]
1889‐1971。岡山県生まれ。本名・栄造。15歳のときに親友・堀野寛と出会い、堀野を通じて読書の趣味に目覚める。翌年、夏目漱石の『吾輩は猫である』上篇を読み、漱石に傾倒。19歳のころには俳句熱が高まって、俳諧一夜会や苦渋会という句会を結成。岡山近郊の百間川から俳号を「百間」とした。1910年、東京帝国大学文科大学へ入学。翌年2月に、静養中だった漱石を訪ねる。漱石の面会日「漱石山房」に出席するようになり、小宮豊隆、津田青楓、森田草平、芥川龍之介、久米正雄などと知り合う。以後、陸軍士官学校や法政大学で教機をとる。1920年には、作曲家・箏曲家の宮城道雄に知遇を得て親交が続く。同年、幼少期より寵愛を受けてきた祖母の竹が死去。1922年、はじめての著作集『冥途』を稲門堂書店より刊行。翌年、関東大震災に遭い、『冥途』の印刷紙型を焼失してしまう。1933年に三笠書房から『百鬼園随筆』を刊行してから、『冥途』の再〓版(三笠書房)や第二創作集『旅順入城式』(岩波書店)、『百鬼園俳句帖』(三笠書房)などを刊行。以降、『贋作吾輩は猫である』(新潮社)、『ノラや』(文藝春秋新社)など多数の書籍、作品を発表する。1967年には、これまでの功績を評価され芸術会員に推薦されながらも「いやだから、いやだ」とそれを辞退。それからも『麗らかや』『残夢三昧』(いずれも三笠書房)などを著す。多くの名筆を世に刻み、1971年4月20日に逝去

山本善行[ヤマモトヨシユキ]
1956年‐。大阪府生まれ。関西大学文学部卒。書物エッセイスト。2009年、京都銀閣寺近くに「古書善行堂」オープン(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

吉田あや

60
コンパクトながら百閒の魅力を凝縮した、本のともしび第5巻。敬愛して止まない漱石先生を偲ぶ「漱石先生臨終記」。学生時代に憧れの漱石が満洲旅行へ行くという情報を得て、急行列車が岡山駅を通過する時汽車の窓から一目覗いてみようと入場券を手に友人とホームで待っていた話は、顛末も含めて推しへの愛がなんとも愛らしい。弟子となった後も憧れが強すぎるせいか、木曜会に集まる人たちのように漱石と気軽に話すことが終生できず、せっかくの二人の時間も気詰まりにすらなってしまう(⇒)2023/07/06

Y2K☮

32
京都の出版社・灯光舎の本。著者初読み。噂にたがわぬ独特の名随筆と漱石愛を満喫した。漱石はなんだかんだで漢気に富んだ面倒見のいい人だった気がする。あとある作品における「同学の太宰君」「彼はフランス文学科」というくだりを見てパラレルワールドへ迷い込んだかと困惑した。正体はもちろん津島修治ではなく百閒と同郷の太宰施門。「昇天」やメロンのエピソードから伝わる悔恨の重さを最後に収められた表題作の微笑ましさが中和してくれた。このシリーズは装丁が美しくて手触りも素晴らしいのだけど、特に本書のそれらは絶品。第2期もぜひ。2023/10/29

pirokichi

23
書店で本書を目にした途端、素敵!と思わず手に取った。シュークリームの皮のような表紙も収録エッセイ「シュークリーム」を表題としたセンスも本の大きさも薄さも文字のフォントも帯も、何もかも好み。収録作品は山本善行氏撰の内田百閒の随筆と小説「漱石先生臨終記」「昇天」「掻痒記」など全8篇。どの作品も引きつけられ、おもしろかった。「長春香」では、「ノラや」的百閒先生を見てしまったわ。メロンを食べてない話は胸にぐっときた。本書は京都の小さな出版社・灯光舎の「本のともしび」シリーズの5巻目。中島敦など他も読んでみたい。2023/03/11

柊渚

19
見た目も質感もまるでシュー生地の表紙を捲ると、溢れ出すのはクリーム色の記憶。大切な人たちとの別れを綴ったものが多く、温もりとさびしさを内包した文章が、心を震わす。自分のなかにある懐かしい何かがふわっと思い起こされるような、そんな読後感です。ユーモアが漂うものから、『昇天』や『長春香』といった白昼夢に誘われる幻想的なものまで、百閒の魅力を余すことなく詰め込んだ作品集。作者や作品ないし読書そのものへの入り口に、という灯光舎さんのコンセプトも大変素敵🕯2025/04/25

kankoto

10
山本善行氏撰集。「 漱石先生臨終記」「長春香」「昇天」など死を扱った作品、たちまち自分の周りに何とも言えないまるで自分がそこに佇んでるような空気感に包まれる。 ちょっと怖くて足元をすくわれるような、それでいてピンと糸を張ったような緊張感と美しさ。  あたまのデキモノに悩まされる「掻痒記」はなんとも言えず可笑しみを感じてしまう。このユーモアが含まれている所も百閒先生の好きな所。 この撰集の題名にもなっている「シュークリーム」、短い作品だけれど読んだ人それぞれの胸に何かを思い起こさせる作品なのではないだろうか2023/03/07

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