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灯光舎本のともしび
かめれおん日記

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  • サイズ B6判/ページ数 112p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784909992529
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0095

内容説明

パラオ滞在中に出会った島民の女性をユーモラスに親しみあるまなざしで描いた「マリヤン」、ある南の島に伝わったとされる昔話を題材に描いた「幸福」、そしてタイトルとなった「かめれおん日記」を収録。自身の望まぬ環境と喘息の持病に悩むある教師が、突然生徒から渡されたカメレオンを飼育することになる。その珍奇な小動物の観察から、「自身への呵責と省察」が思索的に展開し、現実と内面の世界を往還する。環境に適応できずに衰弱する「かめれおん」と何とか今の状況から脱却を試みる人間が鮮明に描かれる。

著者等紹介

中島敦[ナカジマアツシ]
1909‐1942。東京生まれ。1926年、第一高等学校へ入学し、校友会雑誌に「下田の女」他習作を発表。1930年に東京帝国大学国文科に入学。卒業後、横浜高等女学校勤務を経て、南洋庁国語編修書記の職に就き、現地パラオへ赴く。1942年3月に日本へ帰国。その年の『文學界2月号』に「山月記」「文字禍」が掲載。同5月号に掲載された「光と風と夢」が芥川賞候補になる。同年、喘息発作が激しくなり、11月に入院。12月に逝去

山本善行[ヤマモトヨシユキ]
1956‐。大阪府生まれ。関西大学文学部卒。書物エッセイスト。2009年、京都銀閣寺近くに「古書善行堂」オープン(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

99
2022年1冊目は、装丁が美しい「灯光舎本のともしび」第3弾。中島敦「マリヤン」「幸福」「かめれおん日記」の3篇。パラオ地方の島女とのわずかばかりの交流と郷愁。オルワンガル島の長老の夢と下僕の夢の中で立場が入れ替わり、現実にもそうなるという昔話。カメレオンを自宅で飼ううちに、精神は活発に働くものの身体は無力になってゆく日々を綴る。とうとうカメレオンは弱って来て手放してしまう。最後「兄と私」で妹の折原澄子が、彼の死の直前の様子を伝える。太宰治と同年に生まれたが、惜しいことに太宰より6年早く喘息で亡くなった。2022/01/01

Y2K☮

35
装丁が秀逸。灯光舎という京都の出版社の本。おかげで教科書に載っていた「山月記」や新潮文庫で読んだ「名人伝」「李陵」の印象しかない中島敦の生涯を知った。太宰治と同い年。女学校の教員を辞めてパラオに渡る。帰国後「光と風と夢」が芥川賞候補になり、夢であった専業作家の道へ。だが同じ年の12月に33歳の若さで亡くなる。樋口一葉を思い出した。諸々を知ってからパラオ時代に材を取った「マリヤン」や教員時の鬱屈した精神が綴られた表題作を読むと切ない。彼が健康だったら日本の文壇史は大きく変わっていた。代表作をしっかり読もう。2022/08/21

那由多

18
『マリヤン』『幸福』『かめれおん日記』の3作収録。『幸福』が面白かった。2022/07/24

あつ子🌼

12
多くの人がそうであるように、私と中島作品の出会いも『山月記』でした。十代の私はその硬質で美しい文章にガツンとやられ、爾来、自分ランキング永代偏愛作家のひとりです。 本書は、パラオ赴任時代の経験から書かれた『マリヤン』『幸福』と、教師時代の経験がベースとなっている『かめれおん日記』の三篇から成っています。著者の圧倒的な漢学の素養を前面に感じることはないものの、そこは中島作品。難読漢字(笑)に普段怠けている脳を刺激され、南洋の生暖かい空気を感じ、生きることの物悲しさが身にしみました。令和4年の邂逅に、多謝。2022/02/19

zeeen

3
中島敦の随筆にはユーモラスで微笑ましく、どこかもの憂げな気配が漂う。特にパラオからの帰国後の「かめれおん日記」では本人の体調もあってか人生を達観したような雰囲気さえ感じる。そして巻末の氏の妹である折原澄子の文章がよく、敦の人柄や父、妻との関係が適度な距離感で淡々と描かれており、それが胸に沁みた。2024/04/09

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