どんぐり

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6変判/ページ数 80p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784909992505
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

内容説明

寺田寅彦の代表作である随筆「どんぐり」は若くして亡くなった妻・夏子との想い出を綴り、今も人々の心を揺さぶる名筆です。そしてこの「どんぐり」を丁寧に考察し、寺田寅彦と妻・夏子を鮮明に描いた中谷宇吉郎の「『団栗』のことなど」を収録。文学的に仕上がった中谷宇吉郎の文章が随筆「どんぐり」の魅力を引き立てます。さらに寺田寅彦の随筆「コーヒー哲学序説」をくわえ、味わい深い随筆の世界へと読者を誘う一冊が仕上がりました。

目次

どんぐり(寺田寅彦)
コーヒー哲学序説(寺田寅彦)
『団栗』のことなど(中谷宇吉郎)

著者等紹介

寺田寅彦[テラダトラヒコ]
1878‐1935。東京に生まれ、高知県にて育つ。東京帝国大学物理学科卒業。同大学教授を務め、理化学研究所の研究員としても活躍する。物理学の研究者でありながら、随筆や俳句に秀でた文学者でもあり、多くの名筆を残している

中谷宇吉郎[ナカヤウキチロウ]
1900‐1962。石川県生まれ。東京大学理学部を卒業し、理化学研究所で寺田寅彦の助手として勤務。後に北海道大学教授を務め、雪と氷の研究で新境地を開く。物理学者でありながら随筆家としても活躍

山本善行[ヤマモトヨシユキ]
1956‐。大阪府生まれ。関西大学文学部卒。書物エッセイスト。2009年、京都銀閣寺近くに「古書善行堂」オープン(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こーた

167
寺田寅彦の(と云うよりは日本近代文学の)名短篇「どんぐり」と、その弟子・中谷宇吉郎による解説(と片づけてしまうには勿体ないくらい見事な名随筆)「『団栗』のことなど」を並べて読める仕合わせな一冊。装幀も見事で、手元において折にふれ読み返したくなる。寺田寅彦は当時のこの国の家族制度を疑い悩んでいたふしがあって、その先見性に唸らされると同時に、その家族観の未だほとんど変わっていないことに絶望する。妻に先立たれ、自身も病弱だった。弱さに立つ視点には、いまこそ耳を傾けるべきでは、と思わされ、もっと読みたくなる。⇒2023/06/25

アキ

88
「コロナ禍が続き、受け身にならざるを得ない状況の中で、何かできることはないかと思いめぐらすと、心に浮かび上がってきたのは、文学の香りたつ本を今こそ作りたいという思いであった。(中略)自由に動けない今のこのような時期に、一人一人に手渡すような気持ちで本作りを始めることに意味があるように思えてきた。」選者あとがきより。灯光舎本のともしびシリーズ第1巻。しかと受け取りました。何度も読み返したくなるような美しい文章。「どんぐり」「コーヒー哲学序説」寺田寅彦、「『団栗』のことなど」中谷宇吉郎の3篇。全巻購入します!2021/03/18

吉田あや

71
結婚後間もなく早逝した妻・夏子との短い日々を振り返る随筆「どんぐり」。肺を病む妻の体調のいい日を見計らって出掛けた植物園でのささやかで愛おしい時間が、時を経て忘れ形見の六つになる娘との思い出に重なっていく情景はしみじみと切なく、植物園で見かけた小さな女の子の姿に「あんな女の子がほしいわね」と言った妻の声が遠くなりゆく静かな哀しみと相まって、さざ波のように心は粟立っていく。そしてその余韻を更に深める中谷宇吉郎の「『団栗』のことなど」。(⇒)2023/06/27

Y2K☮

31
衝動買い。寺田寅彦の文章に初めて触れた。エッセイと随筆の違いはわからないけど、きっとこれは名随筆だ。中谷宇吉郎の「『団栗』のことなど」も同じ。併せて読むと、軽々しく言葉へ換えたくない感情が胸に渦巻く。某感染症の恐怖を必要以上に煽る報道が幅を利かせていた2021年に本書を編んだ意図を想像したくなる。あと灯光舎のこのシリーズは装丁が素晴らしい。色合いと手触りを楽しむことまで含めた贅沢な読書をさせてもらった。電子書籍やオーディオブックの普及は間違いなく必要なこと。それでもなお紙の本がいちばん好きだと確信できた。2023/10/17

kochi

18
若くして学生結婚した寺田寅彦が東京で病を得た妻と暮らした日々を描く「どんぐり」と、弟子筋にあたる中谷が寺田の日記をもとに、師の生涯を振り返った「『団栗』のことなど」が配されたコンパクトな山本善行さん編の本。亡妻の忘れ形見である長女みつ坊と同じ植物園でどんぐりを拾う時、妻の面影を見て遺児の幸せを願う場面で終わる印象的な一編の物語を、中谷は日記などから補った背景を加えて、また違った角度から物語を紡いでいく。それぞれの作品は青空文庫でも読めるが、二つが一つの本になることに意味がある。編集の力というものを示すか。2022/01/31

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/17537920
  • ご注意事項

最近チェックした商品