内容説明
存在を可視化する。部落女性9人による生きるための実践と思想。部落女性の声が聞こえないとしたら、それは聞いてこなかったからだ。被差別部落をルーツに持つ女性たちが、それぞれの研究や活動現場から「部落」を語り直す、これまでなかったフェミニズムの書。
目次
第1章 部落女性の「不可視化」とフェミニズム―レイシズムとしての無関心
第2章 祖母、母、わたしと婦人水平社の姉妹たち
第3章 私から、われわれ、そして私へとつながる物語
第4章 私が生きのびるための思想・生活・運動
第5章 私たちはここにいる
第6章 「食」の記憶に浮かびあがる部落女性たち―ある皮なめしのムラの聞き取りから
第7章 地域・コミュニティにとって「当事者」とは誰か?
第8章 私たちが部落を語るために―部落に生きる者たちの系譜
第9章 不可視化への歴史的抵抗、主体と権利の奪還
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
slowpass
7
世間一般的に個人的な回復とは、現状の社会環境で心身が「不適応」にならなくなること。だが社会環境によって差別や抑圧を受けている存在にとって、それらを我慢したり意識を逸らして別の楽しみを見つけてやっていければそれでいいのか。それは明らかにその人から力をうばい、ゆがませている。ごまかしではなく、世界に対する新鮮な心もちをその人が取り戻すことが重要とおもう。2025/04/04
jam
1
学術書と思って身構えていたが、結構読みやすかった。フェミニズムからも周縁化され、無視されてきた部落女性に焦点を当てた本。部落解放運動は男性中心の運動であり、そこでも部落女性への視点は少なかった。マジョリティー女性によるフェミニズムは、女性同士の共通点にスポットを当て、女性同士の環境の違いには目を向けなかった。重い指摘だと思う。インターセクショナリティが言われる中でも見落とされたきた、ないものとされてきた人がいる。2025/06/09
YukoNexus6
0
タイトル聞いただけで「うわ、読みたい!」そしてごくごく読んだ一冊。とりわけ個人史、聞き取りが良かった。2025/05/24