感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
77
この短編集では現実からの飛躍が起こったりする事を巧みに文章に定着させるための作品のようです。その中の『弦楽四重奏』は、音楽がストーリーの中核をなすためいくらか軽さと高揚感があり、すんなりとその世界に入っていけた。 表題作は2頁の超短編なのがあっけにとられる感じで訳者解説を読むと意図は分かる気がするが、もうちょっと何か欲しい気がした。あとがきによると姉が版画を担当し、夫と二人で立ち上げた出版社で出版した本のいわば翻訳復刻版らしいが、そうした本としてまとまっているのが良き点でした。2024/12/03
ネギっ子gen
49
【ウルフが夫とともに始めた出版社から1921年に出した、自身で編んだ唯一の短編小説集】表題作をはじめ、「幽霊たちの家」「ある協会」など全8編を収録。巻末に詳細な、本文注・訳者解説・訳者解説注・参考文献。「訳者解説」より。<いずれも邦訳があるが、8編すべてを一冊に収録した邦訳はこれまで出ていない。そこで本書は『月曜か火曜』のいわば復刻版を目指した。8編をもとの順番に並べ、初版で使われていたウルフの姉ヴァネッサ・ベルによる4枚の木版画をもとの位置に相当するところに挟み、同じくベルによる表紙を扉絵にした>と。⇒2025/04/06
燃えつきた棒
32
この短編集、ウルフが自分で編んだ唯一の短編集だということだが、残念ながら僕には散漫な印象しか残さなかった。 もちろん、その原因はひとえに僕の読解力のなさにあるのだが。 というわけで、今回はその散漫な印象を散漫なままに書いてみたい。 母がよく話していたが、子供の頃の僕は、たぶん赤胴鈴之助になりきっていたのだろう、棒を持っては近所の生垣などを叩きまわっていたそうだ。 あらぬ所を叩いて、蛇など飛び出さなければいいのだが。 ◯ 『青と緑』(西崎憲訳/亜紀書房)との関係について: ここでは、先行訳である『青と緑』2024/08/09
おだまん
9
ウルフの初期短編、ここからもう花開いているのがわかります。青の意味するところは全世界共通なのだなぁ。2024/10/04
29square
7
ウルフ初の自作短編集の当時版の再現か…。病的スレスレが奇跡的に美しさを顕す作品と、完全に発症?してしまっている作品が混在している危うさがThe前衛として評価された当時の雰囲気が判るような気がする。 「書かれなかった小説」と「壁のしみ」が双璧と云うか双極。何かをトリガーにして、意識の流れの中でうかんでは消える連想や妄想がひとつのストーリーを紡ぐウルフ独自の離れ業が全く違うアプローチで見られるのは面白かった。 あと解説あとがきの充実がスゴイ。これだけで別の本に出来そう。2024/08/23
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- はじめての哲学的思考 ちくまプリマー新書




