内容説明
原爆投下から75年、広島・長崎の被爆者は15万人を下回り平均年齢は82歳、本書収録の貴重な証言をお寄せいただいた少なくない方も故人となられました。核廃絶にむけた展望と運動を切り開いた国連核兵器禁止条約と、その一方、危険な逆流がせめぎあういま、ノーモアヒロシマ・ナガサキの原点である被爆体験の記録・継承・発信は差し迫った課題となっています。
目次
ヒロシマ編(小野忠煕―日赤勤務の妹はガラスの破片が刺さった身体で看護にあたっていた;永原誠―15年戦争の果てに父、母、二人の妹を奪った原子爆弾;小高美代子―胎内のわが子と共に被爆;澤井美千代―私たちを最後の被爆者に;高橋正清―おやじを探し求めて歩き回った広島の街 ほか)
ナガサキ編(中野士乃武―燃え尽くす長崎の地獄絵の中を縦断して帰りついた私の被爆体験;川越潔子―家族8人全員のいのちとからだを傷つけた原子爆弾;森美子―看護婦として召集された大村海軍病院で被爆者救護に従事して被爆;白石辰馬―海軍衛生兵として39日間 長崎の被爆者を救護;小笠原長四郎―“核爆弾”被爆体験記 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanatsu
1
原爆被災者手記等の書物はこれまで何冊か読んだけれど、この本は被爆2世・3世の言葉と言うこともあり、身近に感じられた。本来なら教室で授業を受けているはずの生徒たちが家屋解体や工場などに動員されていて被爆したこと、放射能の怖さを知らないがために投下後の市内に家族を探しに行ったり、命じられた作業をして被った被害の拡大に恐ろしさを感じた。被爆者手帳取得の際の市担当者の心無い言葉や、原爆症認定申請の却下など、行政(市・県・国)の対応の不親切さについての証言も多く憤りを覚えた。仮名での証言は差別の存在を表している。2020/09/04
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