感想・レビュー
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trazom
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キリスト教信仰の要諦である「贖罪信仰」の来歴を探る論考である。贖罪とは、誰の、何の罪かと、大貫先生は問う。原始エルサレム教会での罪はモーセ律法違反であったが、パウロの「十字架の神学」を通じて、イエスの死の救済論的・贖罪論的解釈がなされ、罪の定義がキリスト教道徳への違反に変わり、贖罪信仰が教理化されたプロセスが詳らかにされる。だから今も、東方教会では(信仰義認とともに)贖罪信仰は見られないと言う。更に、贖罪信仰が「他者の犠牲に甘んじる無意識のエゴイズム」という存在論的な問いかけに移行するという指摘も鋭い。2024/03/10
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