内容説明
天平宝字八年(764)九月、孝謙上皇によって御璽と駅鈴を奪取された藤原仲麻呂(恵美押勝)は失脚・滅亡し、ここに仲麻呂政権は終焉を迎える。最終的には皇権者との対立によって滅び去ったが、そのことはとりもなおさず、仲麻呂政権が「天皇専権」と相容れないものであったこと―つまり、真の意味で「貴族専権」であったことを示唆する。それでは、仲麻呂が目指した「貴族専権」国家とは、具体的にはいかなるものであったのだろうか。本書では、(1)仲麻呂と孝謙上皇、淳仁天皇、(2)仲麻呂と光明皇后、(3)仲麻呂と官人、(4)仲麻呂の民政、(5)仲麻呂と仏教、(6)仲麻呂と神祇の各視点から仲麻呂政権の特質を明らかにし、奈良朝における「天皇専権」と「貴族専権」のせめぎ合いの実相に迫る。復刊にあたり、史料の釈読を一部改めたほか、補註、旧版刊行後の研究動向を書き下ろしで収録。
目次
序論 古代天皇権力と貴族専権―孝謙太上天皇と藤原仲麻呂
仲麻呂と孝謙上皇、淳仁天皇
仲麻呂と光明皇后
仲麻呂と官人
仲麻呂の民政
仲麻呂と仏教
仲麻呂と神祇
付論
著者等紹介
木本好信[キモトヨシノブ]
1950年、兵庫県生まれ。1978年、駒澤大学大学院人文科学研究科日本史学専攻博士後期課程単位修得満期退学。1978年、明治大学大学院文学研究科史学専攻研究生。1993年、山形県立米沢女子短期大学教授。2010年、甲子園短期大学学長。2013年、龍谷大学大学院兼任講師を経て、2017年4月より龍谷大学文学部教授、2021年3月、定年退職予定。2003年、博士(学術)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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