内容説明
2019年に歴代最高興収を記録した日本映画界は、コロナ禍の2年を経て、国内アニメ映画と作品のファンダムとIPの海外展開を軸とするこれまでとまったく別のビジネスへと転生した―『ハリウッド映画の終焉』でアメリカ映画界の崩壊と失われつつある映画文化の現状に警鐘を鳴らした筆者が、ライフワークとして執筆した「映画興行の10年」。記録の向こうから見えてくる真相とは?
著者等紹介
宇野維正[ウノコレマサ]
1970年、東京都生まれ。映画・音楽ジャーナリスト。米ゴールデン・グローブ賞国際投票者。「リアルサウンド映画部」アドバイザー。映画誌やファッション誌での連載のほか、YouTubeやPodcastでも精力的に活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hoven
2
500pを超える。ウェブ媒体(Real Sound)に書かれた8年分の連載をまとめたもの。これがよく出版社の企画を通ったと思う。一通り読んだが、日本の映画産業はアニメや寅さん的映画(シリーズもの)に頼ってる。見たことないけど、とにかくコナンは強い。ドラえもん、鬼滅、ONE PIECE。日本の俳優だと菅田将暉と山崎賢人主演の映画が目立つ。更にトム・クルーズはすごすぎる。80年代から映画に出続けて、未だにヒット作を出し続けてる。バケモノ。2024/10/08
トッパ
2
コロナ禍を経て映画興行をめぐる状況がどのように変化したのかを、興行成績を定点観測することで丁寧に炙り出した一冊。リアルサウンドでの連載はスタート時から読んでいたものの、まとめて一気に読むと確かな分析力には感心するばかりでした。特にディズニーと全興連の駆け引きと、それによって映画ファンがないがしろにされていく過程を紹介するくだりは熱い筆致で、映画館で映画を観る楽しみを奪われることへの憤りがしっかりと伝わってきました。映画館で映画を観ることが好きな者なら読んでおくべき。2024/08/12
しょうや
1
とりあえず、まえがきとあとがき、そして各年まとめの文章だけ。宇野維正さんのX、トークライブ、YouTube、ポッドキャスト仕事を追っているといやでも流れこんでくる問題意識に貫かれている。洋楽離れよりも深刻なのは洋画離れ。2020年を境に360度、日本における映画業界の風向きが変わったことが切迫した事実として突きつけられる。しかし、ネガティヴなだけではなく、産業全体が潤い存続するための指針を常に念頭においている点はさすがジャーナリストであり、さすが産業の味方である。2024/10/04
satoshi
0
著者のリアルサウンド映画部で連載してた記事をまとめたもの。毎週読んではいるが、こうしてまとめて読むと、映画を取り巻く状況が流れで掴める。特にコロナ禍~以降をリアルタイムで記しているのが本書の特性だと思う。このあたりの変化のダイナミズムは凄まじい。2025/06/12
ヌンサ
0
p250「オリジナル脚本で全国規模のヒットを狙うのは、竹槍で戦闘機を落とすようなものである」2024/10/28