内容説明
古代のヤマト国家は自分たちの統治が全世界を覆うかのように想像していた。ヤマト宮廷が生み出したあらゆるテクストに、この帝国的想像が表現されている。『万葉集』はその最たるケースである。『万葉集』を国民的歌集とする通念は、近代国家が生んだ幻影にすぎない。虚妄が暴かれた今、本来なされるべきだった帝国的歌集としての解読を実行する。米国発の問題作、最適の訳者を得て待望の刊行!
目次
序論
第1部 帝国の文学的表象(漢字圏における帝国としてのヤマト;国民的に想像された上代日本;帝国日本の形成;帝国の歴史叙述と壬申の乱に関する物語の対抗関係;帝国史としての歌集)
第2部 帝国の詩歌と一人称のポリティクス(天下の声;天武と吉野崇敬;天武の天降り神話;近江京の記憶;藤原宮の天皇)
結論
著者等紹介
ダシー,トークィル[ダシー,トークィル] [Duthie,Torquil]
カリフォルニア大学ロスアンゼルス校アジア言語文化学科教授。1968年イギリスで生まれ、その後まもなく一家で南スペインに移住。1992年ロンドン大学東洋アフリカ研究学院卒業。北海道大学文学研究科国文学専攻修士課程を経て、コロンビア大学大学院博士課程修了
品田悦一[シナダヨシカズ]
1959年群馬県生まれ。東京大学人文科学研究科博士課程単位取得修了。聖心女子大学文学部教授などを経て、東京大学教授(大学院総合文化研究科)
北村礼子[キタムラアヤコ]
1973年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業(英米文学専攻)。ニューヨーク市立大学留学を経て翻訳に従事するとともに、慶應義塾大学にて米文学演習(翻訳実技演習)のアシスタントを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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