感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
87
ほとんどの国で独裁者が生まれた中南米では多くの独裁者小説が書かれたが、英語圏の作品にも同じ傾向があるとは思い及ばなかった。欧米ではヒトラーとスターリンの登場が文学者に強い影響を与え、その後の作品はほぼ2人のイメージに固定されている。またアジアやアフリカの独裁者は失敗国家のジャイアンのようで、中南米系に顕著なマジックリアリズムなど文学的実験が見当たらないことが注目されてこなかった理由か。それでも彼らは自分たちの歴史に誠実に向き合っており、今も独裁者が君臨するアジアの作家が政治に圧倒されている状況を照射する。2022/01/14
HANA
66
英語で書かれた独裁者小説の流れを追った一冊。評論の対象となっている小説、ほとんどが未読で読んでいる事が前提となっている部分があるので読み進めるのがきつい部分も。この分野ではやはり『1984年』の存在感が圧倒的で、題名になっている事からもそれはわかるけど、それに先立つ小説もまた興味深いな。独裁者の二つの系譜、ヒトラーをモデルにしたものは個人的崇拝でスターリンのそれは組織に依拠しているというのは面白い指摘。後半の一国の独裁者物はラテンアメリカが有名すぎるので、影が薄い部分も。読んでみたいのは多いけれども。2021/09/28
gkmond
1
いろいろ興味深かった。ファラーの三部作、英語でも入手難しいっぽいのが残念。2021/10/22