目次
序章 文学批評には「型」がある?
第1章 作品を生み出す「作家」に注目してみよう―作家論と近代文学批評の誕生
第2章 「作品」は社会や作家から独立できるのか?―伝統社会の崩壊とニュークリティシズム
第3章 すべての作品には共通するシステムがある?―ニュークリティシズムから構造主義へ
第4章 言葉には「声」がある―イデオロギー批評の逆襲
第5章 読者がいなければ、作品は存在しない?!―マルクス主義批判から読者論へ
第6章 作品と読者を取り巻く環境を考える―文学におけるメディア論
終章 文学批評の存在意義はどこにある?
著者等紹介
小林真大[コバヤシマサヒロ]
山形県生まれ。早稲田大学国際教養学部卒業。現在インターナショナルスクールにて国際バカロレアの文学教師を勤める。2015年にIB Diploma Japanese A:Literature Category 1 Workshop修了。2019年にIB Diploma Japanese A:Literature Category 2 Workshop修了。オンラインで海外の生徒への指導もおこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
27
感想文から批評への書き方の本と思い手にとったら、学術的な批評入門の本で驚く。「作者・作品・読者(・その他)」のどれかの要素や関係性を強調した6つの型から批評について語られていく内容。それぞれに歴史や作品例も触れられており、学術的な批評に縁がなかった私にも入門書として、わかりやすかった。終章では、文学批評の危険性にも触れられており筋を通している面も感じられた。もっと若い時、例えば大学1年頃に出会いたかった本。2021/07/22
まこみや
26
作者/作品/読者/メディアと観点の比重を移しながら、文学批評の流れと個々の方法論とを概観させてくれる。実に重宝な1冊だった。ただ無い物ねだりをすれば、詩の批評理論とされるニュークリティシズムを除いて、それ以外の批評はいずれも内容や主題についての分析理論であって、表現(言葉)そのものの批評ではない点である。私達が小説を読むとき、その作品(作家)の文体やリズムこそが、読み進む際の大きな駆動力になることは疑えない。文体やリズムについての分析は、一般的な理論ではなく、個別具体的に取り上げるしかないのだろうか。2021/10/18
おかじ
26
一つ一つの理論の流れを知るには良い書だと感じた。それぞれの理論の長短が記されているのもよい。務めてわかりやすさを重視したスタイルで、ごんぎつねなど定番教材を扱っているところから、国語教育と文学批評を接続しているところも多い。概説書としてすぐれた一冊である。2021/09/16
yo
20
【良し悪しではなく、その作品がどんな作品かを知る】文学を個人的な感想に終わらせず、より客観的な観点から批評をしていくにはどうすればよいか。作家、作品、構造、イデオロギー、読者、メディアの6つの観点から文学批評の手法を解説する。高校生・大学生を対象とした本であるためか、大変簡潔かつ分かりやすい語り口で解説してくれている。終章では文学批評の存在意義を説く内容となっているが、ここで文学批評が「売れる作品を見抜くための能力」とはある意味関係ないことがわかる文章がつづられていたのがよかった。2021/07/07
かふ
16
テリー・イーグルトンの『文学とは何か』のサブテキストような。高校生には難しいだろう。もっともこれを理解すれば大学の文学部なんてちょろいもんだ。私は構造主義とか記号論は混乱する。文芸批評と言うより現代思想だ。文学の構造が社会的に影響されているが、また新しい読者によって開かれていくのも事実だ。そして新たな問題提起がされていく。https://note.com/aoyadokari/n/nf07c00ee66cf2022/09/28