内容説明
オリジナル・アンソロジーで再発見。悲愴と滑稽、恍惚と不安が同居し、正義と不実、真面目と怠惰の価値が反転する―。虚構と詭弁に溢れながらも、悲しい真実と痛切な純真が描かれる太宰治の傑作選!
著者等紹介
太宰治[ダザイオサム]
1909(明治42)年~1948(昭和23)年、小説家。1930(昭和5)年、東京帝國大学仏文科に進んだ一方で、井伏鱒二に入門。1933(昭和8)年に太宰治の筆名で『列車』を発表。1935(昭和10)年に『文藝』に発表した『逆光』が第1回芥川賞候補となる。『道化の華』を佐藤春夫に認められ、以降師事。1948(昭和23)年に『人間失格』を脱稿、その1ヵ月後に入水自殺した
長山靖生[ナガヤマヤスオ]
評論家。1962年茨城県生まれ。鶴見大学歯学部卒業。歯学博士。文芸評論から思想史、若者論、家族論など幅広く執筆。1996年『偽史冒険世界』(筑摩書房)で大衆文学研究賞、2010年『日本SF精神史 幕末・明治から戦後まで』(河出書房新社)で日本SF大賞、星雲賞を受賞。2019年『日本SF精神史“完全版”』で日本推理作家協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MICK KICHI
66
(表紙・挿画: YOUCHAN) アイロニー傑作集と題した短編集。太宰治を読むのは、35年ぶり。そんな前に出会った作品なのに、鮮明に記憶が甦える作品があるのは、太宰作品が青年期に差し掛かろうとする心の襞に、密着して現在まで生き残って来たせいだろうと感じる。妙に浮かれて道化を演じて自虐的になりたい時など、あぁ、太宰的だと思ったりする、あるいは筒井康隆的かも知れないが。 収録作品からとられたタイトル「女神」が秀逸。男は愚かで下衆、女性は賢明かつ崇高。そんな観念的テーマを各作品の根底に感じた。2020/01/13
くさてる
14
太宰治の短編からアイロニー色の濃い作品をセレクトした短編集。もうつくづく、うまいし、面白いし、やんなるくらいにすごいな、太宰!というのが正直な読後感です。言うまでもない傑作が揃ってるので、ひとつひとついうのもなんですが、「駆込み訴え」や「カチカチ山」や「待つ」などのこの令和の現在でなお光り輝く現代性というか、時代に左右されない人間性の描写とかもう、言葉がない。つくづく良かったです。ああもう悔しいくらいに。2021/02/06
たつや
6
「駈込み訴え」がユダの裏切りを書いていると知り探してこの本にたどり着く。太宰はユダをこの様に捉えたんだなという感想。「灯籠」はヒロシのネタ?と思う程卑屈で笑えた。「カチカチ山」の 考察も面白く読めた。太宰治の未読を全て読みたくなった。2022/10/31
abe623
5
太宰久しぶりに読んだけど好きだわ〜2020/09/10
Mie
1
これ、時系列順に並んでるのかな?なんとなく、せんぜん→戦時中→戦後の移り変わりも感じるようなお話だった。 私は結構カルタの話、好きだなあ…2022/06/15