内容説明
昔、街を明るく照らしていた古い街灯は新しく明るく照らすところを見つけます。それは…
著者等紹介
山田彩央里[ヤマダサオリ]
宮城県で生まれ、明治学院大学英文科を卒業後、JJEカレッジキャリアセンターで児童文学と創作絵本を学び同人誌「しっぽ」に作品を投稿する。今回の絵本「がいとうのひっこし」が初めての出版となる。日本児童文芸家協会会員
山田和明[ヤマダカズアキ]
京都市に生まれ現在の嵯峨美術大学でデザインを学ぶ。建築会社で建築パースや宇宙イラストレーションを制作。その後、アクアスタジを設立しイラストレーションや絵本を国内外で出版。2010年、2011年、2018年にイタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選。「My Red Balloon」はルークス賞・トロイスドルフ絵本賞を受賞。「あかいふうせん」は第9回ようちえん絵本大賞を受賞。日本児童文芸家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
149
夜の街を照らす街灯が主人公の物語。ここでもあそこでも必要とされなくなって、自らが輝く居場所を探している。照らすことしかできないけれど、きっと必要とされるところがあるはずだから。都会にいると輝く存在が多すぎて気づかないけれど、たったひとつの灯りが不安や孤独を和らげてくれたりする。暗ければ暗いほど小さな光でも遠くを照らすことができる。その明かりに向かって歩こうと思えたり、その下で立ち止まって考えてみたりする。そんなとき、聴こえていないだけで、街灯の想いが届いているのかもしれない。この絵本を読んで、そう思えた。2024/12/07
Roko
30
世間の人たちがキラキラして見えて、自分だけダメだってしょげている人の気持ちを、がいとうさんはわかってくれたのよね。だって彼だって同じような気持ちでいたから。まぶしすぎる光より、がいとうさんのような、ほんのりと明るい優しさが必要な人がいるのよ。まっすぐ家に帰りたくないけど、ここでホッとしてからならきっと帰れる。そんな人たちの力になれたみたいよ、がいとうさん。広場にポツンと置かれていたベンチさんとも仲良くなれそうだし、ここがきっと、あなたがいるべき場所なのよ。#がいとうのひっこし #NetGalleyJP2024/11/08
anne@灯れ松明の火
21
新着棚で。ネットご紹介。ひっそりと辺りを照らしていた街灯は、周りに立派な街灯が増え、居場所をなくす。自分を必要としてくれるところを探して歩くが、なかなか見つからない。とうとう寂れた広場のベンチの隣に立ち止まった。そのベンチには、心の疲れた人がやってきて……。街灯を擬人化したことで、その失敗もどこかほのぼのとしたものになっている。おそらく誰もが街灯に自分自身を見出す。あなたの居場所はどこかに必ずあるというメッセージが、心に灯りをともす。山田彩央里さん初絵本だそうだ。次作が楽しみ。絵は山田和明さん2024/12/04
もちこ
16
全体的に濃い紺色の世界。その中に小さく灯る街灯の優しい光。 絵を見るだけでも、心が静かになって、癒されていく。 今や街は街灯がいらないくらい明るくなって、邪魔者扱いをされるようになった街灯は、居場所を求めてさまよいます。 たどり着いた先で出会う、同じく寂しい思いをしている人や物たち。 みんながどこかでホッとできる居場所を見つけられますように…という願いが伝わってくる絵本でした。2024/09/30
ふじ
11
とても心に沁みる、これぞ絵本、という作品です。派手さのない、いち街灯のお話。読み聞かせにも、大人にも。この出版社さん、種類は違えどいつも何かしら心に響くものがある絵本を出版されるのですが、先日1人出版社だと伺い、1人でこんないい仕事ができるものなのだなぁと純粋に驚きました。これからも追っていきたいです。#NetGalleyJP2024/11/19