出版社内容情報
100年以上にわたって、日本社会に根付いたスポーツである野球。しかしその社会的定着や「人気」を集める所以を、日本人・日本社会の特殊性で片付けることなく、どこまで意識的に主題化して論じてきただろうか。
本書は、旧制中学=新制高校の野球を主題に据えて、野球とその社会的位置や支える制度やモノ、意識の形成と展開を、さまざまな光をあてて歴史的に跡づける。
それは、東アジア近現代史への理解とともに野球をとらえなおす、また逆に野球からとらえなおすことであり、そのことによって、「汗と涙と感動の物語」「野球ができる平和な世の中に感謝」という一般的な「甲子園」観を更新することができるだろう。
「甲子園」という「汗と涙と感動の物語」をどう「眺め」直すか、歴史研究の立場からその対象としての可能性を確かめる。
巻末資料として、戦後の全国すべての地区予選決勝進出校を公立・公立実業・私立に分類して分析し、現校名を付したデータを収録
序 論 高校野球史の現在と可能性を探る(谷川穣・白川哲夫)
総 論 高校野球一〇〇年のあゆみ(中村哲也)
第1章 明治期宗教系学校と野球・研究序説―曹洞宗第一中学林を中心に―(谷川穣)
第2章 地域の野球を護るもの―京阪の運動具店と中央運動社―(黒岩康博)
[コラム]書いて楽しむ野球―大正期、京都一中の回覧雑誌から―(谷川穣)
第3章 植民地朝鮮と甲子園―在朝日本人中等学校の野球史―(小野容照)
第4章 満洲・台湾と甲子園(高嶋航)
[コラム]女子野球(高嶋航)
第5章 高校野球「雪国のハンディ」論の形成(白川哲夫)
第6章 全日本少年野球大会始末―もうひとつの甲子園―(冨永望)
[コラム]「本当の高校野球」への渇望―全国高等学校定時制通信制軟式野球大会とメディア(西原茂樹)
第7章 高校野球部マネージャーの系譜―男子マネから女子マネへ―(高井昌吏)
第8章 甲子園大会の「国民的行事」化―一九七〇年代における新聞・雑誌報道の変容―(西原茂樹)
[コラム]「野球記者」鈴木美嶺―「甲子園に来ることができて幸福だった」―(萩原稔)
第9章「公立優位県」富山県の分析―「夏の高校野球・都道府県大会決勝進出校データ」をもとに―(萩原稔)
高校野球・「甲子園」の歴史略年表
資料1 夏の高校野球 都道府県大会決勝進出校データ(1948?2017)
資料2 夏の高校野球 都道府県大会決勝進出校における公立・私立比率(1948?2017)
資料3 春・夏の甲子園大会出場校における公立・私立比率(1948?2018)
白川哲夫[シラカワテツオ]
編集
谷川穣[タニガワユタカ]
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内容説明
100年以上にわたって、日本社会に根付いたスポーツである野球。しかしその社会的定着や「人気」を集める所以を、日本人・日本社会の特殊性で片付けることなく、どこまで意識的に主題化して論じてきただろうか―本書は、旧制中学=新制高校の野球を主題に据えて、野球とその社会的位置や支える制度やモノ、意識の形成と展開を、さまざまな光をあてて歴史的に跡づける。それは、東アジア近現代史への理解とともに野球をとらえなおす、また逆に野球からとらえなおすことであり、そのことによって、「汗と涙と感動の物語」「野球ができる平和な世の中に感謝」という一般的な「甲子園」観を更新することができるだろう。「甲子園」という「汗と涙と感動の物語」をどう「眺め」直すか、歴史研究の立場からその対象としての可能性を確かめる。
目次
序章 高校野球史の現在と可能性を探る
総論 高校野球一〇〇年のあゆみ
第1章 明治期宗教系学校と野球・研究序説―曹洞宗第一中学林を中心に
第2章 地域の野球を護るもの―京阪の運動具店と中央運動社
第3章 植民地朝鮮と甲子園―在朝日本人中等学校の野球史
第4章 満洲・台湾と甲子園
第5章 高校野球「雪国のハンディ」論の形成
第6章 全日本少年野球大会始末―もうひとつの甲子園
第7章 高校野球部マネージャーの系譜―男子マネから女子マネへ
第8章 甲子園大会の「国民的行事」化―一九七〇年代における新聞・雑誌報道の変容
第9章 「公立優位県」富山県の分析―「夏の高校野球 都道府県大会決勝進出校データ」をもとに
著者等紹介
白川哲夫[シラカワテツオ]
1976年生。琵琶湖疏水記念館資料研究専門員
谷川穣[タニガワユタカ]
1973年生。京都大学大学院文学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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