内容説明
贈与の考え方を現代社会に活かすことによって、資本主義を「変質」させ、人と人を結び直し、自然と人間との関係を問い直すことはできるのか。
目次
プロローグ
第1章 贈与をめぐる日常―プレゼントはなぜうれしいのか(あげる人、もらう人;贈与とお返し;贈り物をするわけ;贈与の力学;贈与の毒)
第2章 与えられているもの―贈与と他者(校則;法律;文法;言語のシステム;結婚のシステム;知識)
第3章 贈与の慣習―贈与と資本主義1(贈与と社会的慣習;贈与と村社会;資本主義)
第4章 新しい贈与のかたち―贈与と資本主義2(社会保険;ギフト・エコノミー;ボランティア)
第5章 自然の贈与―感謝するということ(気候変動;自然の恵み;宮沢賢治と自然)
エピローグ
著者等紹介
岩野卓司[イワノタクジ]
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。パリ=ソルボンヌ大学大学院博士課程修了。博士(哲学)。現在、明治大学教授(教養デザイン研究科・法学部)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ta_chanko
17
人間の本質的・本能的な行為である「贈与」。贈与する者とされる者の間には、必ず「交流」がある。上下関係・支配と服従の関係、人間と自然との関係なども含めて。しかし、資本主義が行き過ぎた現代、貨幣を介した「交換」や自然環境からの「収奪・搾取」などの面が強くなりすぎていて、「贈与」の存在が薄れてしまっている。生活の中に小さな「贈与」を取り戻すことで、資本主義を変質させていくこと、共同性や交流を取り戻すことが必要。この地球や身の回りの人間環境の中で豊かに生きていくために。2023/07/06
tharaud
6
十代でもわかるように書かれた贈与論の入門書。すでに贈与論についての知識がある人には物足りないかもしれないが、今の社会に見られる具体的な例を用いて贈与についてわかりやすく説明されているので、はじめの一冊にはちょうどよい。意外に類書は少ない。2023/11/03
takao
4
ふむ2024/05/20
はとむぎ
4
響かず。2023/12/03
chiro
3
資本主義がグローバル化を機に一気に格差社会を拡大させ、とどまる気配はない。著者は、今の資本主義を違う方向に向かわせる手段として贈与を掲げている。そもそも贈与とはどういったものでそれが社会の中でどのように築かれていったかという仕組みからそれが何故今取り上げうるものとなったかについてわかりやすく説かれている。副題にあるように新しい社会をつくりうる素晴らしいアイデアだと思う。2023/07/01
-
- 電子書籍
- 頭を下げれば金が来る