出版社内容情報
彫刻とは何か?── 「空白の時代、戦時の彫刻」と「この国の彫刻のはじまりへ」の2つの特集を柱に、 8本の書き下ろし論考、2人の彫刻家へのインタビュー、鼎談、詩を収録。 この国が孤立主義と軍国主義に落ちこんでいった時代と併走し、国家権力の流れを映し出した「彫刻」に光を当てる。 彫刻をめぐる叢書「彫刻 SCULPTURE」創刊号(次刊は2019年夏、刊行予定)。
目次
【巻頭言】小田原のどか「近代を彫刻/超克する」
【インタビュー】小谷元彦「彫刻の変わらなさ」
【詩】山田亮太「報国」
■特集I:空白の時代、戦時の彫刻
平瀬礼太「戦争に似合う彫刻」
千葉慶「公共彫刻は立ったまま眠っている──神武天皇像・慰霊碑・八紘一宇の塔」
椎名則明「鑿の競作──《和気清麻呂像》建設を巡る諸問題」
迫内祐司「近代日本における戦争と彫刻の関係──全日本彫塑家連盟を中心に」
【鼎談】白川昌生+金井直+小田原のどか「『彫刻の問題』、その射程」
■特集II:この国の彫刻のはじまりへ
金子一夫「工部美術学校の彫刻教育の歴史的意義」
髙橋幸次「ロダンの言説輸入と高村光太郎──「道」について」
田中修二「彫刻と地方(試論)──朝倉文夫と北村西望の場合から」
小田原のどか「空の台座──公共空間の女性裸体像をめぐって」
【インタビュー】青木野枝「彫刻という幸いについて」
[資料]マップ・年表・索引
著者紹介
平瀬礼太
1966年生。日本近代美術。愛知県美術館学芸員。
主な著書に『銅像受難の近代』(吉川弘文館、2011)、『彫刻と戦争の近代』(吉川弘文館、2013)。
千葉慶
1976年生。近現代日本美術史。
著書に『アマテラスと天皇──〈政治シンボル〉の近代史』(吉川弘文館、2011)。
椎名則明
1975年生。日本近現代史。
主な論文に「近代日本における銅像建設と戦争」(山田朗編『【もの】から見る日本史戦争II 近代戦争の兵器と思想動員』青木書店、2006)。
迫内祐司
1981年生。近代日本美術史。小杉放菴記念日光美術館学芸員。
主な著書に『美術の日本近現代史』(東京美術、2014)。
金子一夫
1950年生。美術教育学。茨城大学特任教授。
主な著書に『近代日本美術教育の研究明治時代』(中央公論美術出版、1992)。
髙橋幸次
1953生。美学、美術史、芸術学(近現代彫刻)。日本大学芸術学部教授。
主な論文に「ロダン 神話の解体と展望」永井隆則編『フランス近代美術史の現在ニュー・アート・ヒストリー以後の視座から』(三元社、2007)。
田中修二
1968年生。近現代日本美術史。大分大学教育学部教授。
『近代日本彫刻史』(国書刊行会、2018)。
山田亮太
詩人。TOLTAメンバー。
主な詩集に『オバマ・グーグル』(思潮社、2016、第50回小熊秀雄賞受賞)。
白川昌生
1948年生。美術作家。
主な著書に『美術館・動物園・精神科施設』(2010)、主な編著に『芸術と労働』(2018、いずれも水声社)。
主な展覧会に「あいちトリエンナーレ2016」、 「白川昌生 ダダ、ダダ、ダ 地域に生きる想像」(アーツ前橋、2014)。
金井直
1968年生。イタリア美術史および近現代彫刻史。信州大学人文学部教授。
主な共著に『彫刻の解剖学』(ありな書房、2010)、『自然の鉛筆』(赤々舎、2016)。
青木野枝
1958年生。彫刻家。
主な個展に「ふりそそぐものたち」(豊田市美術館、名古屋市美術館、2012)。
2019年に長崎県美術館にて個展開催予定。
小谷元彦
1972年生。彫刻家。東京藝術大学先端芸術表現科准教授。2019年4月より東京藝術大学彫刻科准教授。
主な個展に「小谷元彦 幽体の知覚」(森美術館、熊本市現代美術館、静岡県立美術館、高松市美術館を巡回、2010-11)。
小田原のどか
1985年生。彫刻家、彫刻研究。トポフィル共同主宰。
主な編著に『彫刻の問題』(トポフィル、2017)、『原爆後の七〇年──長崎の記憶と記録を掘り起こす』(長崎原爆の戦後史をのこす会、2016)。
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