内容説明
第一回RANGAI文庫賞受賞作品含む短編集。
著者等紹介
佐川恭一[サガワキョウイチ]
滋賀県生まれ。京都大学文学部卒業。『踊る阿呆』で第二回阿波しらさぎ文学賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
76
toi booksにて購入。6編の短編からなる。どれもひとの人生の不条理さを描いたものばかり。物語の終わりに主人公が人生を閉じるものが多い。死は本人の思った通りに訪れることはない。読み終えた後にやるせない感覚が残る。「ダンスナイト」「聖人」「マルドレッドの人々」が好み。2021/04/30
路地
63
不条理で非現実的な舞台設定なのに、人間の持つ弱い部分をバシッと正確にかつ強引に掴んでくるような、疾走感あふれる短編が詰まった一冊。アルファベットやギリシャ詩人かのような名前で記号化された登場人物が使う関西弁が、絶妙な誇張により物凄くリアリティが引き立てられていて、読書を超えて作品の中にハマり込んでしまった気にさせられる。個人的にこれは町田康さんの作品以来の感覚…2022/09/28
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
63
これは戯作と呼ぶにふさわしいお笑い小説集。表題作『ダムヤーク』はくだらなくて好みであった。基本的にそんなお笑い短編集なのだが、唯一異色の『聖人』という短編が掲載されている。これはいじめを扱った小説で、シニカルな視線もある作者ゆえに、くだらない展開やオチがあるかと思いきや、まさしく「聖人」という題名通りの小説で感心した。これは確かに人間関係におけるひとつの正解で、自分を傷つける相手よりも、自分の方が人格的にも魅力的にも優れてしまう事が解決してしまう事があるのだ。偉い人になる選択肢を忘れて久しい昨今の我々。2021/03/15
そうたそ
11
★★☆☆☆ 早くも才能の片鱗を感じさせる短編集。「舞踏会」が良かっただけに、それより前に発表されたこの作品はちょっとパワーに欠ける気もする。ぶっ飛びすぎた内容ではあるのだが、あまりついていけなかったというのが正直な気持ち。2023/01/08
さすらいのアリクイ
10
「渋谷のラジオ」というコミュニティFMラジオ局の番組「渋谷で読書会」の中でこの小説本と、著者の佐川恭一さんの特集の回を聴いて興味を持ったので。短編小説集。うーん、この小説は何なんだろうね? という感想が一番強い。読みごたえが無茶苦茶あって、衝撃や笑いがあって、読んだあとも頭の中に小説の中の出来事や登場人物の行動がこびりついてなかなか消え去ってくれない…。小説に中毒性も感じる。まあ、でも、「すでにある何か」ではないんですよ。魅力的な個性がある…とストレートに褒めるのも何か違うんだよな…と。2021/07/20