内容説明
計画停電の夜、県検察院のトップが殺害された。唯一の目撃証言が指し示した容疑者は、地域の人々から愛されるベテラン警官・葉援朝。葉には娘を有力政治家の息子に殺されながら、示談に甘んじ隠蔽に協力させられた過去があり、被害者も事件の関係者だった。数日後、今度は人民法院の裁判長が死亡する。事故死と思われたが、捜査責任者の高棟は力学の知識に長けた人物による計画犯罪を疑う。葉援朝には、彼を慕う物理教師の甥がいた―。
著者等紹介
紫金陳[シキンチン]
中国の名門大学の一つ、浙江大学卒業。2007年にデビュー。十数作品の小説を発表している人気作家。代表作の「官僚謀殺」及び「推理の王」シリーズは、人々の琴線に触れるストーリー展開に加え、社会問題に深く鋭く切り込み、周到な謀殺計画とその遂行をスリリングに描いた作品で、独特なスタイルのミステリーになっている。現在、多くの作品が映像化されている
阿井幸作[アイコウサク]
北海学園大学卒業。中国北京市の中国人民大学に語学留学してから今日まで北京市暮らし。留学中に中国のミステリー小説などに興味を持ったことがきっかけで、今はライターや翻訳者としても活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yukaring
69
『検察官の遺言』がとても面白かったので手に取ったがこちらも凄く面白い!「中国の警察や官僚ってこんなに腐ってるのか」と目を見張る内容が本当なのかは気になるところだが、そんな腐った奴らに敢然と立ち向かうダークヒーロー的な犯人による痛快な倒叙ミステリ。皆に愛される警官・葉援朝。彼の娘は政治家の息子に殺されるが当たり前のように隠蔽されてしまう。心の中で復讐の炎をたぎらせる彼には物理教師の甥・顧遠がいた…。事件の揉み消しに加担した官僚達の不可解な死。評判の名刑事と天才的殺人者の息詰まる対決がとても楽しい1冊だった。2024/07/02
うまる
25
続編。前作の方が圧倒的に面白かったですが、ハイテク捜査を逆手に取る知能犯との対決は、相変わらず読み応えがありました。今回は地元の先生なので、犯人の事を知っている人が多いし、仕事関係で行動制限が多いのが特徴的。おまけに尻拭いから始まるので、倒叙としては危険度がより高くなった感じですね。前作のこともあるから、最後に笑うのはどっちか、目が離せない展開でした。推理の王シリーズとやらも翻訳版出ないかな~。2023/08/11
Schunag
4
いくらなんでもこの邦題は。と思ったのですが、ほぼ原題どおりでした。2023/05/07
Akko1454
2
前作「知能犯之罠」と同じく中国の架空県を舞台にした倒叙ミステリー(ちなみにSF要素は全くありません)。要人は汚職に染まり、貧しい人たちは泣き寝入りをする。そんな腐った社会に立ち向かい、完全犯罪を目論む殺人者と、犯罪を暴こうとする敏腕刑事。このシリーズ、面白いのですよ。もっと人気が出てほしいな。2023/08/09
xuehuabing
2
「知能犯之罠」「悪童たち」も読んでいるが本作も負けず劣らずおもしろかった。中国社会、とくに官僚の 闇っぷりには根深いものがあるなぁ。ところでカバーのデザインやフォントがいかにも素人っぽくて同人誌かと思ってしまったのだが、もう少しなんとかならないものか。2023/05/23
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- 和書
- 創造的人間 角川文庫