内容説明
「十五人の局長を殺し、足りなければ課長も殺す」―殺された公安局副局長の死体の傍らには、そんな“予告状”が残されていた。捜査が進むにつれて指揮官の高棟は、警察の人海戦術の弱点や科学捜査の限界を熟知した犯人の計画に慄然とする。そして予告通り起こる、第二、第三の殺人。捜査を立て直すべく、高棟は学生時代の旧友で、数理論理学の天才と呼ばれた徐策に協力を乞う。だが、高棟は知らなかった。徐策こそが、一連の事件の真犯人であることを。そして高棟は、現代中国社会そのものを嘲笑うかのような、恐るべき「殺人トリック」に直面することとなる…。官僚連続殺人事件をリアルかつスリリングに描く、「官僚謀殺」シリーズ第一弾!
著者等紹介
紫金陳[シキンチン]
中国の名門大学の一つ、浙江大学卒業。2007年にデビュー。十数作品の小説を発表している人気作家
阿井幸作[アイコウサク]
北海学園大学卒業。中国北京市の中国人民大学に語学留学してから今日まで北京市暮らし。留学中に中国のミステリー小説などに興味を持ったことがきっかけで、今はライターや翻訳者としても活動中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
115
犯人は最初から分かっているところからの始まり。犯人の賢さを殊更に繰り返したり、エリート刑事も保身や出世にとらわれる俗な人物だと明らかになってきたり、だんだん読むことに対する興味が失せてきたあたりから...、あらら、となっていった。それぞれがそうくるか、と。最後には、それもいいね!と作家に拍手。読むのに苦労する方には、ぜひあきらめずとアドバイスしたい(^^) 余談の感想:中国人の犯人がアメリカで結婚したのか台湾女性で、仕事をやめて主婦だという設定!共産党の女性は強いから、違うタイプを皆さん求めるのかしら。2019/10/18
buchipanda3
106
華文ミステリ。犯人が最初から分かっている倒叙ものだが、ちょっと趣きが変わっていて最後まで面白く読めた。まさに完膚なきまでにという言葉が相応しい作品。犯人の徐策と捜査側リーダー高棟は共に論理的思考に長けた人物。しかも二人は親友同士で何度も接見し、手の内を晒し合うような奇異な展開を見せる。本作の面白味は手の内を見せながら徐策が次にどんな手を打ってくるのかというサスペンス的な要素だと思う。どう決着するかという終盤のあれをやった瞬間、あのセリフが甦って思わずやりやがったなと声が出た。ある意味、友人思いだと言える。2020/02/10
あさうみ
44
精鋭刑事vs天才殺人犯の頭脳対決。たしかに東野圭吾さんの「容疑者Xの献身」が頭に過ぎるが、こちらは感情の振れ幅は乏しく、『いかに警察を欺き犯行を達成するか』に重きが置かれてる。捜査側が政治色を見て打算するのでそこが受け入れられるかと、大胆な結末は賛否両論かも。題名に納得の仕掛けです。2019/05/29
うまる
32
うおぉぉ面白かった~。読者も罠にかけるなんて、中国ミステリ恐るべし。倒叙で観たいのは頭脳戦なので、どちらかがポンコツではなく、両者の拮抗が絶妙で凄く良かったです。お互いの知性を認めながら進む展開に目が離せませんでした。とくに犯人側のバレちゃうんじゃないかというドキドキがたまらなかったです。終章は思っていた以上に回収があって放心しました。そうそう、あの描写はなんで説明されないんだろうと思ってたんだよ!でも銃剣のアレが出てきて、マジ?どうやって?とホントに驚いた。2作目も用意しといて良かった。すぐ読もう。2023/08/07
星落秋風五丈原
22
中国の拷問も結構えげつない。いやーあの部分への拷問はねぇ。2021/08/24