感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
s_s
4
相変わらずエキセントリックで、唯一無二の世界を覗かせてくれるネルノダイスキの作品集。いつの間にか刊行されていた。いつも以上の本の厚みに気圧されたが、内容は独創的で軽やか。詰め込まれている感じはないのに、読後の充足感が大きい。ミシンに使うひとつのボビンを凝視し没入することで、物語と活劇を演出する『A momentary delusion』が特に印象深く、お気に入り。まさに”束の間の妄想”であり、どことなく懐かしさが漂っていた。台詞が一切無いのに、作品として過不足なく成り立っていることも高評価。2025/06/29
Mark.jr
3
panpanya作品や「てるみな」から消えてしまった何だか分からない正体不明な感じが、この作品にはまだ残っています。2023/12/31
たけのこ
2
ネルノダイスキ先生の新刊ですね。このざっくりして見えて、書き込まれた紙面に独特の空気が満載で、本棚に置いておきたくなるんですよね。この間は発想勝負の短編集といった面もちで、いろんな突飛な状況をこのテイストで堪能することができます。滝の話好きかな。2023/12/24
caniTSUYO
2
天才ネルノダイスキさんの最新作。 タイトル通り、日常からひょんなことをきっかけに物語が立ち上がる14篇。 本作で精緻な筆致による写実でき背景や物体に対して登場人物のネコ人間や登場人物という作風が、実は日常から物語が立ち上がり、非現実にジャンプする際に人間だと生々しかったり、グロくなってしまうことへの対策なのでは?と思えた。 個人的に、身体を交換することで壮大なクライムサスペンスになるNecoとTaco、人間の嫉妬心を描いた「きんき」、つげ義春の石屋みたいなガールミーツ石、蜘蛛との友情物語「夏の騒動」が好み2023/12/09
abaoaquagga
1
大ボリュームの短編集。同居人はへんないきもの「T&D」「夏の騒動」、動きで魅せる一発ネタ「A momentary delusion」「てんてん」、ミニマルな物体からマキシマムな妄想へ「ひとりブレスト」「M1」等、ユルくて緻密で、そして不思議な14編。「きんき」や「ガール・ミーツ・石」からはそれぞれ新境地開拓の試みもみられる。ダラダラとした微睡みが心地良い余韻を残す「MELTRIP」で〆。ごちそうさま。2024/05/06