内容説明
地域資料から日本の歴史を読み解きほぐすと、さらに歴史がおもしろく、また現代社会もその先に見えてきます。現代社会のその先を作るために。日本の歩みを記憶として地域から残し伝え考えるための本。
目次
山形県“庄内”から日本の歴史を問いかける
第1部 埋もれた歴史を掘り起こす(西郷像の裏側にあった知られざる歴史 西郷隆盛の木像を鶴岡に―幻に終わった鹿児島からの木像誘致計画;失われた居合術・剣術を求めて 武芸者の祈り―庄内藩の田宮流居合 ほか)
第2部 知られざる庄内の姿(禁教下の潜伏キリシタンの歴史 布教・信仰・禁圧の実態―庄内のキリシタン;同盟の性格を関係性から探る 諸藩の思惑が交錯する奥羽戊辰戦争―庄内藩と米沢藩の場合 ほか)
第3部 地域の歴史における庄内の特徴(地主・豪農ばかりではなかった代家経営 江戸前期の農家のかたち―庄内に広くあった代家経営;守られ続けてきた資料から空白を埋める 代官の新しい実像―庄内農政史に一石を投ずる ほか)
第4部 語り継ぎたい人物史(史料の少ない人物に迫る 幻の戦国武将、鮭延秀綱―庄内という第二の故郷;藩の責任を背負わされた人物が顕彰されるまで 庄内藩叛逆首謀人、中老石原倉右衛門成知 ほか)
第5部 庄内史研究のための問題提起(なぜ証券が利用されたのか 証券で達成した蔵米取引の効率化―「米札」という証券;現在も続く焼畑の歴史 庄内における焼畑の記録と記憶をつなぐ―検地帳からみる焼畑の形態 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katashin86
1
昨夏旅行した印象も根強い庄内地方の郷土史18稿。酒井氏入部・庄内藩400年を祝う中のオフィシャルな歴史語りとは異なる姿を明かす。2023/03/15
深窓
1
庄内史の各テーマについて地元の郷土史家を中心に様々な著者が論じた本。庄内地方は郷土愛が強く、伝統が大切に受け継がれている印象があったが、まさに読後も実感させられる。中でも、今や観光スポットとして名高い山居倉庫が酒田商人と鶴岡元藩主家の対立から設立された経緯とその果たした役割についての論考が興味深かった。2021/07/13
木倉兵馬
0
庄内地方をめぐる歴史を紐解く一冊。いろいろと興味深く読めました。田宮流居合術についてだったり、庄内での焼畑農業の記録であったり、武士の宴会についてだったり、奥羽列藩同盟での足並みの揃わなかった部分についてだったり。特に武士の宴会、また焼畑については記録に残りにくいものだと思うので面白かったですね。2021/11/28