内容説明
近年、激動する中国や朝鮮半島との関係をはじめ、周辺の国際情勢を背景にしつつ、東アジアをめぐる漢文訓読、歴史文化、宗教、美術等々の研究もまた活況を呈している。そんな中、説話文学研究はどうあるべきか。中国、朝鮮半島、琉球、ベトナムにおよぶ広範の文化圏から「説話」を考究する、研究の最前線ともいうべき、説話文学会の55周年記念・北京特別大会の記録。
目次
1 説話文学研究の最前線―説話文学会55周年記念・北京特別大会の記録(基調講演「中国仏教と説話文学」;シンポジウム「中国仏教と説話文学」;ラウンドテーブル1「釈氏源流を読む」;ラウンドテーブル2「東アジアの“環境文学”と宗教・言説・説話」)
2 これからの説話文学研究のために(日本文化史と説話研究―戦後歴史学が失ったもの;説話の背後に広がるもの―説話が機能するためには;文学に内包された絵画、あるいはテクストの図像学;鑑真伝記の変容と説話;医事説話と“学説寓言”;見える呪術と見えない占い―説話の故事性を考える;説話研究の地域貢献―「月の兎」説話と地名伝承;ベトナムの説話世界の独自性と多元性―東アジア世界論・単一民族国家論・ナショナリズムを超えて;デジタル時代の研究環境への一提言;説話文学会55周年に思う)
付録 北京所在の遼代の寺院をめぐって―旅のしおり