出版社内容情報
『雪国』『羅生門』『夫婦善哉』などの文芸映画を、その原作である文学作品との相関関係から読み解き、オリジナリティの本質を探る。すべての創作物は第二次テクストである。
文学作品を原作とし、その変異としてあるはずの文芸映画が、にもかかわらず、かけがえのない固有性を帯びるのはなぜか。
『雪国』『羅生門』『浮雲』『夫婦善哉』『雨月物語』『山びこ学校』など戦後日本映画黄金期の名作から、『心中天網島』などの前衛作、『神の子どもたちはみな踊る』『薬指の標本』といった現代映画までを仔細に分析し、オリジナリティという観念に揺さぶりをかける。
序説 文芸の様式と映画の特性──豊田四郎監督『雪国』
? 〈原作現象〉の諸相
第一章 〈原作〉の記号学── 『羅生門』『浮雲』『夫婦善哉』など
第二章 《複数原作》と《遡及原作》── 溝口健二監督『雨月物語』
第三章 古典の近代化の問題── 溝口健二監督『近松物語』
第四章 〈原作〉には刺がある── 木下恵介監督『楢山節考』など
? 展開される〈原作〉
第五章 意想外なものの権利── 今井正監督の文芸映画『山びこ学校』と『夜の鼓』
第六章 反転する〈リアリズム〉── 豊田四郎監督『或る女』
第七章 擬古典化と前衛性── 篠田正浩監督『心中天網島』
第八章 混血する表象── トニー・オウ監督『南京の基督』
展望 第二次テクスト理論の国際的射程── 映画『神の子どもたちはみな踊る』と『薬指の標本』
中村三春[ナカムラミハル]
著・文・その他
内容説明
原作の変異としてある文芸映画が、にもかかわらず、かけがえのない固有性を帯びるのはなぜか。すべての創作物を第二次テクストとして見る立場から、『雪国』『夫婦善哉』『山びこ学校』『心中天網島』などを分析し、オリジナリティという観念に揺さぶりをかける。
目次
序説 文芸の様式と映画の特性―豊田四郎監督『雪国』
1 “原作現象”の諸相(“原作”の記号学―『羅生門』『浮雲』『夫婦善哉』など;“複数原作”と“遡及原作”―溝口健二監督『雨月物語』;古典の近代化の問題―溝口健二監督『近松物語』;“原作”には刺がある―木下恵介監督『楢山節考』など)
2 展開される“原作”(意想外なものの権利―今井正監督の文芸映画『山びこ学校』と『夜の鼓』;反転する“リアリズム”―豊田四郎監督『或る女』;擬古典化と前衛性―篠田正浩監督『心中天網島』;混血する表象―トニー・オウ監督『南京の基督』)
展望 第二次テクスト理論の国際的射程―映画『神の子どもたちはみな踊る』と『薬指の標本』
著者等紹介
中村三春[ナカムラミハル]
1958年岩手県釜石市生まれ。東北大学大学院文学研究科博士後期課程中退。博士(文学)。北海道大学大学院文学研究科教授。日本近代文学・比較文学・表象文化論専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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K.H.