出版社内容情報
石郷岡 建[イシゴオカ ケン]
著・文・その他
杉原 修[スギハラ オサム]
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感想・レビュー
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パトラッシュ
123
杉原千畝がユダヤ難民を救ったとされる「命のビザ」だが、実際はスターリンの黙認下で出されていた。杉原は周囲にいるドイツ、ソ連、ポーランド、リトアニアのスパイに情報を小出しにして役に立つ者と認識させていた。バルト三国のソ連編入でユダヤ人の処遇な問題になると、その立場を利用してユダヤ人のシベリア鉄道利用をソ連が妨害しないとの内諾を取り付け、ビザを発行したプロセスが浮かび上がる。外交官にあるまじき独断専行だが、学歴偏重の外務省で下っ端扱いされた憤懣と復讐があったのか。人道主義の裏にある人間心理の闇が浮かび上がる。2023/01/05
てんてん
1
杉原千畝の「命のビザ」に関連する事柄について、紀元前4000年前のユダヤ教の発端から現在の当事者の証言に至るまで解説している本。写真や図を多用されており、とても読みやすかった。当時の書類が残っていなかったり、生き証人が多くを語らなかったりで、結局、「命のビザ」の謎は多い。なぜ杉原が、政府の命令を無視してビザの発給を行ったのすらわかっていない。しかし、私は、彼が窮地に立たされていたユダヤ人を救うために人道的に行動した結果だと信じたいし、その行いを誇りに思う。2024/11/14