感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
16
☆4。前衛音楽入門と表題にあるが、クラシックの現代音楽に話を限定していない。ポピュラーミュージックが話の流れでいきなり出てくるし、Ⅶ章ではジャズ中心。まあ、シリアスミュージックと言いながら、大衆音楽との接点、交流が全くないわけじゃ無いから、この文構成には好感が持てる。ただ、内容としては、東ヨーロッパの前衛音楽(ペンデレツキなどポーランド楽派とか)がざっくり抜けているのが不満(よって減点)。なお、ハードルは中くらいと言った印象。イラストや音源がないと分かりづらい所はネットで解決して読むといいだろう。2019/06/10
Schunag
8
フリージャズ以外は作曲者/演奏者の名前こそ知ってはいても未聴・未踏の分野ですが(あるいはそれゆえになお)とてもスリリングで面白い一冊でした。まずはシュトックハウゼンとミュジーク・コンクレートに興味をそそられたので、そこから掘っていきたいと思います。なお装幀もすばらしく、実はふらりと入った本屋さんでジャケ買いしたのでした。2019/12/04
さえきかずひこ
8
20世紀初頭にクラシック音楽のコンテクストに生まれたアバンギャルドの精神は、むしろ70年代以降大衆音楽において顕在化したとする冒険的な立論で読んでいてたいへん刺激的である。同時期に読んでいた近藤譲『ものがたり西洋音楽史』では、70年代以降の"前衛音楽"については触れていなかったが、本書と合わせて読むことで、音楽の歴史についての重層的な視点が得られるのではないかと感じた。近藤と筆者では25歳の歳の開きがあり、そもそも立場も異なるのだが、読者には彼らの物語よりも、より自由な歴史の捉え方が許されているだろう。 2019/04/20
owlsoul
5
音楽とは何か。調性(トーナリティ)という概念は、音楽に協和・不協和、つまり正しい音と間違った音という序列を生み出した。しかし、そんな常識に納まらない作家たちは様々な形で既成概念に挑戦し続ける。不協和音の使用に始まり、楽器の改変・創作、環境音やノイズの音楽化、テクノロジーによる実験の数々。しまいには「演奏しない」という行為までもが音楽表現として提示される。デュシャンの『泉』(便器)のような事件が、音楽の世界でも起こっていたのは面白い。ケージとシュトックハウゼンぐらいしか知らない私にとっては難しい入門書だった2022/10/08
kentaro mori
4
めちゃくちゃ面白かった!かなり知っていると思っていたフィールドだが、まだまだ知らないことが多い(例えばドビュッシーがすでにしてケージ的なものを孕んでいた)ことを思い知ったし、また聴いてみようと思わせてくれた。⚫️前衛音楽を思考することは同時に、システムに雲散霧消したかにみえる音楽の原理を考えることでもあるからである。原理を問うとは、なぜこの音楽はこのようなかたちをしているのか、そのかたちはどのように生成し動くのか、私たちはなにを聴き、そもそも音楽とは、聴くとはなにか―そのようなことを考えることでもある。2019/01/31
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- 和書
- はじめての万葉集 〈上〉