内容説明
民族と国家の存亡を背負った男の、定説と自虐史観を超えた、どの歴史家も描かなかった実像に迫る!
目次
第一章 西園寺公望の後継者
第二章 ワシントン体制と「憲政の常道」
第三章 共産ソ連の防波堤
第四章 憲政の常道の終焉
第五章 昭和ファシズムの発生
第六章 二・二六事件
第七章 幻の宇垣一成内閣
第八章 公爵近衛文麿の登場
第九章 包囲された日本
第十章 運命の日米交渉
第十一章 開戦は不可なり
第十二章 近衛上奏文
“寄稿”解説に代えて―風雪に耐えた近衛文書
著者等紹介
鈴木荘一[スズキソウイチ]
近代史研究家。昭和23年生まれ。昭和46年東京大学経済学部卒業後、日本興業銀行にて審査、産業調査、融資、資金業務などに携わる。とくに企業審査、経済・産業調査に詳しく、今も的確な分析力には定評がある。平成13年日本興業銀行を退社し、以後歴史研究に専念、現在は「幕末史を見直す会」代表として、現代政治経済と歴史の融合的な研究や執筆活動などを行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なっく
18
太平洋戦争で大敗した日本、多くの国民を喪い、今もってエネルギーも食糧も国防も自力では賄えず、米国の関税に青息吐息。なぜアメリカなんかと戦争を始めたんだろうと今なら皆思う。日本はどこで間違えたのか?それが知りたくて読んだ。もちろんなにか特定の人物や事件だけでこうなったわけではないし、引き返す機会はいくらでもあったことを知ったが、慢心というか実力以上の自尊心が底辺にあったような気がする。これは決して過去の話ではない。2025/04/17
TI
5
近衛についてよりも戦前の政治状況についての話が半分くらいまである。どうも著者は皇道派よりみたいでっ真崎甚三郎や荒木貞夫を評価しているようで皇道派なら中国問題はうまくいったと思っているみたい。当時の中堅の暴走では無理だと思うけど。また近衛は日米交渉のためにかなり尽力したとしているが政治は結果。3度も首相をしながら軍部に押され結果を残せなかった近衛は高く評価できない。2025/03/22
wakazukuri
3
昭和天皇に対する見方が変わった。東条英機にしてもしかり。近衛文麿は特に自分の中では思うところはなかったが、これを読んで考え直した。近衛の意見が通っていればと思うと残念。負け戦を最小限で止めることができなかった責任は誰に?最後の直筆のメモ、手紙は興味深かった。失われた命、御上のためとはやりきれない。2025/06/20
あまいちろう
2
近衛の卓抜なる世界情勢の分析は大したものだと思うけど、東条英機の世界を見る目のなさが日本にとっては最悪の結末となったね。今になっての後付けだけど、敗戦後、アメリカからの訴追を避けて服毒自殺をするくらいなら、東条と徹底的に戦って死んだ方が良かったのではと思う。それにしても、天皇の戦争責任は戦後アメリカの日本統治のため、問われなかったけど、道義的責任は明確だと思う。2025/03/15
Hisashi Tokunaga
2
昭和初期の一ページを近衛文麿で跡どった本。類書との丁寧な比較ができなったが、速読には適しているように思えた。2025/03/01