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POD>「砲兵」から見た世界大戦 - 機動戦は戦いを変えたか

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  • サイズ A5判/ページ数 137p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784909400611
  • NDC分類 396.6
  • Cコード C0031

出版社内容情報

真の主役は戦車でなく、砲兵だった!? 気鋭の戦史研究家が、新視点から描いた画期的な陸戦論!■真の主役は戦車でなく、砲兵だった!?

気鋭の戦史研究家が、新視点から描いた画期的な陸戦論!

世界大戦というと、戦車や戦闘機、またそれを用いた電撃戦などが有名です。
しかし、二つの大戦の勝敗を決定づけたのはそれら花形兵器ではなく、地味な存在の砲兵でした。

砲兵戦術の視点から、二つの大戦で、戦い方がどのように変わっていったかを解説していきます。
陸戦戦術の流れが分かり、その中で“変わらなかった戦術の本質が何か”が見えてきます。


■内容の抜粋

●砲兵戦術の進化で大戦は動いた
第一次世界大戦のカンブレの戦いでは、戦車が初めて大量投入され、部分的に塹壕線を打ち破りました。
そのため、戦車の集中投入による突破作戦の可能性を拓いた戦闘として有名です。
しかしこれまでイギリス軍が一的に陣地を占領しても、すぐに後方のドイツ軍の逆襲により奪い返されていました。
カンブレの戦いで占領した陣地を奪い返されなかったのは、イギリス軍砲兵が縦深制圧を行いドイツ軍に反撃を許さなかったためでした。

●「機動戦」vs.「火力主義」
機動戦というとドイツの電撃戦が有名ですが、当時、各国が「機動戦」理論を研究し、採用していました。
しかし実際に大戦が始まると、スマートな「機動戦」は打ち棄てられ、陰惨な「火力主義」へと回帰していきました。

●戦車は、ほぼ戦車以外に撃破された!?
いかに装甲と機動性をもつ戦車も、単独で動けばすぐに砲兵の餌食となる脆弱な存在であり、「火力の一部」にしか過ぎません。
撃破された戦車は8~9割が戦車以外によるものでした(北アフリカ戦線を除く)。
敵戦車を撃破するのは、戦車の役割ではなく、砲兵の役割でした。
ティーガー戦車とM4シャーマン戦車でどちらが強いかという問題は、さほど大きな意味をもたなかったのです。

第1章 第一次世界大戦と砲兵
ライフル銃の登場により、19世紀後半から砲兵の地位は低迷し、損害覚悟で近距離・直接射撃を行わざるをえませんでした。
第一次世界大戦の中で、膠着した塹壕戦を打ち破るために、砲兵戦術はどのような試行錯誤を重ね、どう発達していったかを検証します。

第2章 退化していった戦間期の砲兵
進化を遂げ、第一次世界大戦では大きな役割を果たした砲兵でしたが、大戦が終わると軽視されていきます。
その要因は何か、新しい戦術の潮流とは何だったのかを紹介していきます。

第3章 イギリス軍の砲兵ドクトリン
第二次世界大戦中、イギリス軍は「機動戦」を棄てて「火力主義」に回帰していきます。
なぜイギリスがそのような方向転換を行ったかを分析していきます。

第4章 ソ連軍の虚構と実際
ソ連軍は砲兵(火力主義)を重視した組織でした。
独ソ戦を通じて、ドイツ軍とソ連軍が「機動戦」と「火力主義」をそれぞれどのように実現していたか、実際の戦闘がどう行われていたかを分析していきます。

第5章 独自の進化を遂げたアメリカ砲兵
第一次世界大戦後、戦術的には遅れをとりながらも、機械化が進んでいたアメリカ軍は独自の進化を遂げていきました。
しかし第二次世界大戦に突入すると、アメリカ軍も戦術の本質を見直さざるをえない状況にぶち当たります。その過程を紹介していきます。

古峰文三[コミネブンゾウ]
著・文・その他

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

53
ブログ記事を書籍にしたもの。まさかKindleUnlimitedにあるのを知り慌てて読む。地味だが、結局最重要なのは火砲でると著者。航空機が発達しても、前線の兵士の助けになるのは大砲であり、第一次大戦から第二次大戦の独米英露の砲兵運用の変遷を解説。人員の損害を少なくし、敵を殲滅するのに一番効果的なのは火砲なのだが、問題は山積み。大量の弾薬と機動力と即時の大規模運用の難しさを各国はどのように対応していったか。実に面白い。常識と思っていた考えが否定される実にスリリングな本。好きな人なら。好きな人ならぜひ。2024/09/27

yamatoshiuruhashi

34
砲兵運用の歴史から見た戦術の歴史。「ですます」調の文体で非常に高度な内容を分かり易く説明している。日本人にとって第一次世界大戦は遠い出来事のような認識であるが戦い方の歴史を追うことでWWIから現代までが途切れめのない続いた歴史であることも分かってくる。にしても戦闘は如何に相手の兵力を削ぐかと言うことだが、それは即ち相手の兵員を減らすこと=死傷させることだと言うことが改めて思い知らされる。強力な火砲と弾薬を共に膨大に集積していなければ国民たる兵士を失うことになる。戦記とはまた違った一書。2019/01/04

スー

26
51大砲が生まれてからその後の進化や戦術の変化が詳細に記述されていて楽しめました。大砲は遠くの敵や施設を攻撃する為に生まれたが間接射撃の未熟さと対人に絶大な効果のある榴散弾の使用の為に敵に姿を曝し機動力が無い事から危険な兵種だった。しかし技術の発展により遠距離攻撃が可能になったがやはり命中率が悪く効果が薄く効果を出す為には大量の砲弾の用意しなければならず高価な兵器になってしまう。戦車の登場により砲兵の役割に変化が出る。ドイツの資料でティーガー,パンター等の榴弾・徹甲弾の生産量の記録で戦争の後半になると2023/07/14

六点

13
『歴群ムック』の『日の丸の翼』などで犀利な分析を行っている著者の本である。ここで描かれているのはWWⅠ時代からWWⅡに至るまでの砲兵が戦争に於いて果たす役割である。が、「砲兵の展開と運用」と言うものが如何に金のかかる存在であり、平時において冷遇されるものか、と、軍官僚の苦悩を物語ってやまない。そして、あれだけの砲兵運用をWWⅡにおいて行ったソ連の物凄さというものを後半で嫌というほど感じさせてくれる。砲兵は戦場の女王だが、女王と付合うのは金のかかるものであるなあ、と感じた。ブログを纏めて本を出してほしい。2018/10/17

りー

10
いわゆる「大砲」という兵器から、一次大戦、二次大戦の戦略変化を追った本。著者のblogを纏めたものだそうです。2つの大戦のイメージが変わりました。「第二次世界大戦開戦時、自走化された野戦重砲兵の姿など各国陸軍のどこを探しても見当たりません。そして軽砲の大半は19 世紀と同じく馬匹牽引のまま」馬って・・・(絶句)それが二次大戦末期には、突撃砲と戦車の区別がつかなくなる程進化し、VT信管(目標検知方式の信管)まで配備するようになる。技術革新が全力で戦争に向かうとこうなるのか、と、激しい恐怖を感じました。2018/10/01

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