内容説明
ことばはどこから来るのか?なぜそれが“生きる”のか?東京、三崎、松本、京都…移り住む土地、数奇なる半生、創作、この三つの関係を初めてふりかえり、その謎に迫った感動の授業!
目次
午前の部 いしいしんじ「かく」語る(東京 一九九四~二〇〇一;三崎・松本 二〇〇二~二〇〇九;京都・三崎 二〇一〇~現在)
午後の部 いしいしんじの作文を「かく」(ことばが動き出すための準備;「かく」ことと「自分の生」)
著者等紹介
いしいしんじ[イシイシンジ]
1966年大阪市生まれ。京都大学文学部卒。94年『アムステルダムの犬』でデビュー。03年『麦ふみクーツェ』で第18回坪田譲治文学賞、12年『ある一日』で第29回織田作之助賞、16年『悪声』で第4回河合隼雄物語賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かおりんご
23
エッセイ。タイトルにつられて読む。4分の3くらいが、いしいさんの半生。知りたかった「書く」ことについては、あまり割かれていなかったのが残念。イメージで話を掘り下げていって物語を組み立てるというところは、参考になった。2022/12/19
tetsubun1000mg
19
20年近く前の「プラネタリウムのふたご」の強烈な印象から「遠い足の話」「ある一年、京都ごはん日記2」以来4冊目のいしいしんじ本。 他の出版社が出さない本を出すミシマ社の発行なので初めて読む内容。 いしい氏が生まれてから学生時代、意外にも就職していた時代を振り返るのだが相当変わった人だと思った。 「プラネタリウム...」を書いた時も自分の内側から創作が湧き出すまで、じっとためて満ちてきたら書き始める。 ストーリーは湧き出てくる文字にまかせて書き上げてしまうという。 独自の書き方の解説だが真似は無理だろう。 2022/07/06
こつ
17
いしいしんじさん、ふわふわっと素敵なお話を描く方。こちらのエッセイを読むと不思議わーるど全開なお人柄がうかがえます。作家さんってインスピレーションとかスピリチュアルと親和性が高い職業なのかなってちょっと思いました。2022/09/14
kuukazoo
13
この人の小説は10年以上前に読んだけども全然覚えていない、ので新鮮な気持ちで読めた。大半はバイオグラフィで終盤「かく」ことについて。同じ学年、高校まで大阪で東京で就職、という共通する時空があった。小説家なのにイメージとインスピレーションの人。「見えないもの、聞こえないものの「向こう」を探って、目に見えるもの、聞こえるものにしていくのがすごく好きで」というのはよくわかる。1つの言葉から連想される言葉を介して記憶を釣りのように引っかけていく、という手法も面白そうだ(何が釣れるか釣れないかはわからないが)。2022/11/27
イチイ
7
文章を書くことについて学ぶ本という体裁だが、(書くことに無関係とは思わないけど)8割くらいは著者がどう書いてきたのかを振り返る自伝的な語りで、教室的なやりとりはむしろおまけくらいの文章しかなく、これはさすがにタイトルが違うのではと思った。しかも好きなところに住んで、好きなひとと出会い生きてきたという自慢話みたいな内容でちっとも面白くない。教室パートの言葉を自分のうちにある未知なものをひっぱり上げる道具として使うといい説明は興味深いとは思うが、自分では使いたくない比喩だとも思った。2024/01/11