内容説明
「おまえは東京におるんじゃけん関係なかろわい」by父。農地は負の遺産と考える父親世代、中・小規模農家の経済的な厳しさ、農地を持っている人しか農地を買えない法律、急増する猿や猪の畑荒らし、子孫を残せない「F1種」の種、体調を悪くする農薬散布、足並みを揃えることを最優先する町の雰囲気…etc.未来に後悔をしないため、まずは知ること、動くこと。「変わり者」と言われても、高橋さん家の次女はゆく!
目次
第1章 久美子の乱 第1ラウンド
第2章 久美子の乱 第2ラウンド
第3章 サトウキビをめぐる冒険
第4章 サルとイノシシ現る
第5章 生命を食べる
第6章 農業という表現
第7章 久美子の乱 その後
著者等紹介
高橋久美子[タカハシクミコ]
作家・詩人・作詞家。1982年愛媛県生まれ。音楽活動を経て、詩、小説、エッセイ、絵本の執筆、翻訳、様々なアーティストへの歌詞提供など文筆業を続ける。また、農や食について考える「新春みかんの会」を主催する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
130
地方の農地や山に太陽光パネルが。空き家や廃屋もある。荒れ果てた田畑もある。こんな光景を見た事はないか。田畑が荒れたままになることは困る。だからそうした。でも、元に戻すのに5年はかかる。後継者はいない。子供達は売れという。でも、謄本は汚したくない。即ち何らかの登記は入れたくない。他所者が何を言う。地区が反対する。男を出せと宣う。こうした枚挙暇ない声を聞く。でも、地縁ある東京に住む一人の女性がその農地を買って農業をすると言う正当性ある話でさえここまでの労苦がある。これで農業振興なぞ出来るのかと思いやられる一冊2022/07/18
みかん🍊
97
農業をしたいとは思ってない田舎住みでもやはりあちこち太陽光パネルで埋め尽くされるのは嫌だなと思うが、実際に農地を持っている人にすれば、広大な土地で機械を使って出来るならともかく小さな土地で農業をしてもそれでは食べていけなく仕事をしながら自分たちが食べる分だけ作るのがせいいっぱい、高齢になって作業がしんどくなっても荒らす訳にいかず機械も高く負の遺産となる、田舎の男尊女卑風潮も嫌いで横柄であるが父の言い分も分かる、種の事とか知らな事もあったが東京に住みながら農業をするというのはコロナ禍でなくても無謀だと思う。2022/03/23
けんとまん1007
72
現状や、制度、文化、人それぞれの想いなども含め、いろいろ考えながらページをめくった。書かれている、ある意味ドタバタ的な要素を無しにして考えてみる。農地、耕作、放棄地、太陽光パネル、人口など考えることは多い。やはり、波風はたつものであって、それがきっかけになることもある。何かを変えるには、余所者、馬鹿者・・・という言葉を眼にしたことがある。外部からの眼を、どう活かすか・・ちょうど、取り組んでいることもあり、興味深く読めた。2022/11/15
kei302
64
都会に基盤を持つ人のノスタルジーと思い込み、思いつきには呆れ果てます。大変不愉快な内容でした。 高橋父とおっちゃん、久美子にもっとガツンと言ってやって。甘い、そして、思慮が浅い。行き当たりばったりの思いつき。最低でも3年は住み続ける覚悟もないのに、何言ってんだ💢 稲作は地域の人たちとの共働なしには成立しないのです。現実を全く見ようとしない。最後のエピソードは、地域の人たちに、あまりにも失礼だ。2022/03/05
竹園和明
45
かつて国は農業を基幹産業として守るという姿勢があったと思うが、大昔の法律がそのまま残っている為、著者のように農業をやりたくても法律が邪魔して田んぼも買えないというバカな事態が起こっている。担い手不足の上、田植機やコンバインを買い揃えるにも莫大なお金がかかり、それに対する国の支援もなし。食料自給率が低下する一方の我が国で、法整備も農業支援もせず政治は一体何をやっているのか。太陽光パネルに田畑が覆われて行く。数十年後の処分はどうする?。原発と同じ構図だ。結局彼女は土地を買えなかった。こんな事でいいのか日本。2022/04/07