内容説明
後藤正文、内田樹、いとうせいこう、束芋、鈴木理策―5名の表現者たちの創作の根幹を、ドローイングを描く建築家である著者がひらき、自らの感覚をひらく、対話と思考のノート。
目次
第1章 皮膚感覚で思考する(ミュージシャンの創作について思いを馳せる前夜;いま「新しさ」とは―後藤正文との対話 ほか)
第2章 集団で思考する(高くそびえ立つ師との対談前夜;大人が増えれば「公共」は立ち上がる―内田樹との対話 ほか)
第3章 対話的に思考する(前夜―幻想やポエジーの正体を知りたくて;多孔性・反幻想・無時間―いとうせいこうとの対話 ほか)
第4章 手で思考する(三きょうだいの真ん中同士の対談前夜;赦す・ゆらぎ・死―束芋との対話 ほか)
第5章 目で思考する(前夜―眼の延長としてのカメラとは?と想像する;創造における身体と言語の関係―鈴木理策との対話 ほか)
著者等紹介
光嶋裕介[コウシマユウスケ]
1979年、アメリカ・ニュージャージー州生まれ。建築家。一級建築士。早稲田大学理工学部建築学科卒業。2004年同大学院卒業。ドイツの建築設計事務所で働いたのち2008年に帰国、独立。神戸大学客員准教授、早稲田大学や大阪市立大学にて非常勤講師。建築作品に内田樹氏の自宅兼道場“凱風館”、“旅人庵”、“森の生活”、“桃沢野外活動センター”など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tenouji
11
フラクタル構造よりは、もう少しパターン的な、スケーラブルなアート作品だなと感じる。フーリエ変換の際に何を畳み込むのか、ということの逆変換を考えてみることが「つくるをひらく」ということか。対談内容は、幅広いが、まぁ、それなり、という印象だった。2021/03/11
teddy11015544
9
感覚的なことを言語化すること、絵のように同時に認知するものを順序だてて、時間軸の中で論理化していくことを理解して橋渡ししていく難しさを感じました。著者が音楽やら言語やら絵画関係や写真やらの専門家と対談するのですが、ひとつひとつを理解して深く読んでいこうとすると、当然ながら難解です。2021/03/10
袖崎いたる
7
創作する人の体質をめぐる対談と、それへのコメントからなる。タイトルに回収されることになる本編集に散りばめられているアイデアは、創作者たちの力の源が見つかるじゃろう。引用があまりうまくないけど、うまくないなりに面白いパッセージを拾ってくれる目を持っているっちゅーわけ。完全にタイトルホイホイで手にしてしまったな、俺。2021/10/16
ゆうろ
5
社会の時間だけでなく自分の無時間をもつ。2021/07/25
どりぃ☆
5
建築家の著者と5人のアーティストの対談集。対談に臨む前と後の著者の気持ちも文章化していて、単なる対談集で終わらないところが良かった。その反面、そうした著者の生真面目さが裏目に出た部分も。5週連続で別々の人と対談をするハードさもあり、どんどん著者の気持ちが閉じてしまっているのが文章に現れていた。読書が好きだという著者。本からの引用も多く、何でも既知の世界、言葉で語ろうとしてしまっている感じがして残念。特に最後のお二人の伝えたいことと、著者の受け取ったものにズレがあるように感じた。前半は面白く読んだ。2021/07/08