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内容説明
どうして神仏習合という雑種文化は消えたのか?共同体、民主主義、農業、宗教、働き方…その問題点と可能性を「習合」的に看破した、傑作書き下ろし。
目次
第1章 動的な調和と粘ついた共感
第2章 習合というシステム
第3章 神仏分離と神仏習合
第4章 農業と習合
第5章 会社の生命力を取り戻す
第6章 仕事の概念を拡大する
第7章 日本的民主主義の可能性
第8章 習合と純化
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
1950年東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。東京都立大学大学院博士課程中退。神戸女学院大学を2011年3月に退官、同大学名誉教授。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。著書に『私家版・ユダヤ文化論』(文春新書・第6回小林秀雄賞受賞)、『日本辺境論』(新潮新書・2010年新書大賞受賞)など多数。第3回伊丹十三賞受賞。現在、神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まちゃ
60
著者の内田氏のことは知りませんでしたが、神社仏閣巡りが好きなので「習合」という言葉に惹かれて手にしました。「習合」という1つの概念を手がかりに日本文化の様相を論じたエッセイ風の一冊。英仏の文化が純粋種の典型とすれば、日本の文化は雑種の文化の典型。神仏習合は雑種文化の典型的な事例である。習合は社会集団が寛容で、かつ効率的であるためのよくできたシステム。あとがきで「話を簡単にしたがる人」が増えていることが恐怖と述べ、「話を簡単にするのを止めましょう」と提言。その手段の一つが習合なのかな。興味深い。2020/12/08
にいたけ
48
仏教が伝来した時、それを排除せず昔からあった神道と習合させてしまった日本。異質な考えを取り込み、昇華させていく考え方は複雑な世界を生きていくのに必須の考え方だと内田先生は解く。物事はどんどん複雑になっていく。損得で考えると勝つか負けるかの競走になってしまうが正しいか正しくないかでみれば有り様になる。今回も学びの多い本だった。日本に森林が多いのは日本人の良識ではない、森林伐採を幕府が止めた、つまり政策だったという話は目鱗だった。2021/08/24
tamami
45
冒頭、内田さん本人が言うとおり、「習合」という一つの概念を手がかりにして、宗教から民主主義まで、日本文化の諸相を論じようという、本書の着想は大変面白く、あまり異を唱える隙もなく、短時日のうちに読了してしまった。様々な喩えを文献だけに求めるのではなく、著者の生活世界や実地踏査の末の実体験に基づいていて、納得するところが多かった。ただ、最初の前提と最後の結論の方向性を除けばの話だけど。著者は、加藤周一さんの言葉を援用しながら、日本文化の本体は「雑種」であるという。その上で、その雑種性に積極的な意味をみとめ、→2020/09/24
tokko
36
「習合」という言葉はあまり耳に馴染みがありませんでした。けれど、実によく日本人の心のありようを表している言葉だと思います。確かに言われてみると「白」か「黒」か決めなければならないという局面で、「習合」という選択肢をとることに僕は抵抗がありません。「習合」というキーワードで日本人の抱えている諸問題を解きほぐそうという試みは面白いと思います。2020/10/08
Tenouji
30
水際に豊饒な生物世界が育つように、大陸の端っこにある日本が、そのように豊かになるといいね。時には、澱むこともあるだろうが、適度な波にもまれて風通しよくあることを望む。2020/11/13