内容説明
先進国の中で極端に臓器移植件数が少ない日本―。誤解と偏見が、多くの待機者を絶望に追いやっている。救急医療の場で、移植の道を開いてきた脳神経外科医師が、臓器移植の実際、脳死の解釈、費用のこと、提供の意思表示の仕方等、移植に関わる諸問題と課題を示し、誤解をといて、疑問にこたえる。
目次
日本の移植医療の基本情報
臓器提供事情―世界と日本の比較
移植にまつわるお金の話
医師の目で見る人の死
脳死の状態と死
臓器提供と脳死の関係
日本の移植医療の歴史
臓器提供側がかかえる諸問題
臓器移植側がかかえる諸問題
医学教育がかかえる諸問題
臓器提供の選択肢提示の諸問題
臓器移植のQ&A 疑問と誤解
著者等紹介
吉開俊一[ヨシカイシュンイチ]
1960年、福岡県柳川市生まれ。1984年、九州大学医学部卒業。1991年より2年間、米国・オハイオ州のケースウエスタンリーブ大学に留学。その後、福岡県や山口県の病院で脳神経外科の救急領域に従事。現在は、脳神経外科医師の立場で、臓器移植の啓発活動を学会発表、一般講演、大学での講義などで展開。学術論文、寄稿文など多数。医学博士、日本脳神経外科学会専門医。現在、北九州湯川病院勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
13
日本の臓器移植件数が少ない理由となっている臓器移植について今なお存在する多くの誤解を解き、臓器移植について正しい知識を持ってもらうために書かれた。著者自身も臓器移植に関わっており、誤解された経験が少なからずある事が書かれている。実は私も角膜移植を受けています。2000年代には折角成立した臓器移植法の条文解釈の誤りから本来無関係のはずの角膜提供および移植手術も停滞してしまい、やむを得ず海外からの提供角膜による移植を選択した経験をしています。だからこの本に書かれたことは他人事とは思えませんでした。2024/07/15