内容説明
9.11後の英米軍などの侵攻、ターリバーン政権の崩壊と混乱、そしてISの台頭…激動のなか、それでも国内で暮らし、あるいは難民キャンプで生活せざるをえなくなったアフガニスタンの人々。その暮らしぶりは日本ではほとんど知られていません。とりわけ家父長制のもとで虐げられてきた女性たちの日常についてはまったくと言っていいほど知られていないのではないでしょうか。本書は、アフガニスタン女性革命協会・RAWAを支援している「RAWAと連帯する会」共同代表の著者が現地での活動を通して知り合ったアフガン女性たちから聞いた話を“ファルザーナ”という大学生のストーリーに再構成したものです。日本のメディアが報じることのない、アフガン女性の生活や思いを知り、人権と平和について考えてみませんか。小学校高学年から大人まで。
著者等紹介
清末愛砂[キヨスエアイサ]
1972年生まれ。室蘭工業大学大学院工学研究科准教授。専門は、憲法学、家族法、アフガニスタンのジェンダーに基づく暴力。「RAWAと連帯する会」共同代表
久保田桂子[クボタケイコ]
長野県生まれ。武蔵野美術大学映像学科卒業。ドキュメンタリー映画「記憶の中のシベリア」(2016年)制作、同名書籍を出版。2013年、友人の誘いでアフガニスタン・パキスタンのスタディツアーに映像記録のため同行した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かもめ通信
14
米軍撤退を受けて一時期日本のマスコミも大騒ぎしていたけれど,それが下火になった今だからこそ,と,再読してみた。忘れない。忘れてはいけない,女性たちの物語。2021/11/22
めえめえ
5
著者はアフガニスタンのジェンダーに基づく暴力を研究されているかた。この物語は何人かの女性の取材を基に作られていて、ノンフィクションに近いフィクションです。アフガンの女性の進学率、識字率は低く、女性を一人の人間として扱っていない風習もありました。その中でも早くから女性のための活動拠点もあり困難な政治の中、水面下での活動は頭が下がります。大人だけで無く小学校高学年から読める本です。2020/08/19
しーちゃん
3
「ノンフィクションに極めて近いフィクション」とのこと。主人公ファルザーナを通して、アフガン女性の置かれている状況がわかる素晴らしい本だった。しかし、設定は2020年のカーブル。2021年現在、米軍は撤退しタリバンがアフガンの実権を握った。弁護士を目指し勉強に励むファルザーナはどうしているだろう。女性団体や民間シェルターはどうなったのか。簡潔な物語は、衝撃と悲しみをダイレクトに伝えてくる。あとがきでも涙がでた。2021/10/01