感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハチ
12
4/13土に東大で開催された第一回AMSシンポジウムにて本書の訳者である須田年生先生をお招きし、本書のダイジェストを講演頂いたのをキッカケに2年間の積読を経てついに読了。圧巻の内容!ウィーン1900年界隈のアカデニズムやサロンの機運にのせて、フロイトと精神性→クリムト・ココシュカ・シーレの描く絵画、性描写→視覚反応の生物学→芸術と科学の対話と骨太でかつ緻密な論理を展開。それもそのはず。筆者のエリック・カンデルはノーベル生理・医学賞受賞者。鼻血が出るほど面白かった。人生が動いた。2019/04/19
ハチ
11
再読。内容充実でしばらく放心。1900界隈のウィーンの芸術、医学がほんとうに爆破していて、その爆心地を天才エリック・カンデルが語り尽くしている。2019/11/29
えふぇくたー
2
ちょっと勘違いしていたが、芸術を脳科学で理解しようという本ではない。むしろ無意識を芸術と脳科学からアプローチしようとする本。 前半はフロイト精神分析の遺産やクリムト、シーレ、ココシュカ等の絵の論議。美術史ウィーン学派を経て後半は脳科学や認知心理学に話が移る。視覚研究の下敷きが美学・美術史だったってのは言われてみて納得。まとまりはないがとにかく情報量が半端ではない。ゴンブリッチ読んでみたいがお高い・・・2017/09/22
Ryosukem90
1
19世紀ウィーンの芸術と著者の専門分野の脳科学を解説し、脳が絵画をはじめとした芸術をどのように認知するかについて取り組んだ本。 クリムト、ココシュカ、シーレの20世紀の3人の画家に関する解説は美術の専門家顔負けの内容で、それだけで読み応えあり。芸術の認知については視覚の認知と解釈、記憶の原理、情動の作用などがそれぞれ解説される形で全体として体型的な説明にはなっていないが、芸術と脳の関係を考えるための一助にはなる。 分量がかなり多いものの、著者の博識さや熱意が伝わり、内容は良質。2018/05/19
ファーストフラッシュ
1
いろんな事例を還元論的アプローチで芸術、生物学、情動、エロスへとつなげていき面白かった。107ページのかなり大雑把なメモ。クリムトの、自己性愛を描いた作品をポルノだと退けるのは簡単だ。しかし、性の自己充足とともに、自立を強めていく女性と見ることもできる。もし、フロイトがこの絵を見ていたら、我々が背負わされた神話が、健康的な理解へと変わっていたかもしれない。2017/12/30