感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よしたけ
54
ミレニアム・Z世代左傾化背景と未来への処方箋示す。左傾化背景①リーマンショック(貧富拡大し新自由主義(小さな政府を是とし規制緩和や市場原理重視)で若者困窮)②2011年にウォール街・スペイン等での世界的抗議運動(新自由主義抗議運動が能動実現)。結果、英コービン労働党首、米サンダース民主党大統領候補が躍進も右派の高い壁に阻まれた。著者は社会運動を例に議会外行動での現状突破目指し「人新生の資本論」よろしく、コモン(公共財)を協同管理するローカル連帯経済の発足叫ぶ。賛否さておきコロナ禍見ても新自由主義転換は急務2022/07/30
羽
26
近年、アメリカ、イギリス、西欧ではミレニアル世代の若者たちが社会主義者もしくは民主社会主義者を自認している。背景に、一国の政治体制を超えて世界的に共通する原因がある。2008年の危機以降、世代間格差は拡大し、富の一極集中が加速した。2011年の世界的な抗議運動や革命の波で左派は世代統一を成立させ、世代統一は選挙政治への転回を図った。「ジェネレーション・レフト」の誕生だ。本書の最後には、世代間の断絶を乗り越える方法についても述べられている。難しかったが、無関心だった政治に興味がわいてきた今、読んでよかった。2022/08/31
ふぁきべ
12
同姓代以下の日本人と欧米人と接していて感じるのは欧米人(特に西欧)は左傾化していて、資本主義が錦の御旗のような日本とは大きく異なっていること。それの背景も知りたくて手に取ったが、ポップな装丁からは想像できないほどテクニカル内容だった。著者の主張する原始共産主義的な内容には同意できないが、新自由主義が世代間格差を増大し、リーマンショック後の金融救済がウォール街だけでなく住宅などの資産を持つ世代とこれから住宅などを手にするはずだった世代の格差を広げたことが背景の一つである、というのは納得できなくもなかった。2022/08/14
またの名
9
若者が世界中で社会主義を支持し左翼化してるという、ガラパゴス国には想像し難い確変に入った現状を考察。マンハイムやドゥルーズの出来事論を使って世代概念を確定する作業から始める専門的な煩雑さは伴いつつ、仕事に希望を持てず恋愛に慎重で制度と他人を信用できなくて連帯は断たれ孤立し学生ローンを背負って世の中に放り出される過酷な風潮が、新しい政治的要求を生む流れを見る。年配層が若さについて連想する経験や楽しみは今の若者には無縁になり、旧来の左派が若い左派の動きに強烈な拒否反応を起こす等の指摘に、重要なポイントを予感。2023/04/21
鬼束
6
新自由主義とその中心世代は、リーマンショックという出来事を皮切りに自分達の財産を死守するために右傾化を強めた。貯金がなく家も買えない若者達と老人達の階級的断絶は拡大の一途。さらに、新自由主義世代の負の遺産、環境破壊の重荷を背負わされる。この状況を打開すべく、議会外で様々な抗議行動、アセンブリが組織され、政治的、社会的改革の潮流が芽吹いてきた矢先でのコロナショック。世代間断絶どころか、我々の物理的距離すら根底から変えられてしまった。この災禍からコモンを基盤とした新たな社会的連帯にどう持っていけるだろうか。2021/10/10