内容説明
マルク・ジャンソンがパリ国立自然史博物館に自らの半生を重ねあわせつつ、先人たちの業績と近代植物学の歴史をたどるエッセー集。17世紀フランスで植物学の父と呼ばれたトゥルヌフォールに始まり、18世紀中葉、革新的な分類体系を提唱しながら不遇の人生を送ったアダンソン、その名前がフランス語の胡椒の語源にまでなったポワーヴル、植物にも繁殖目的の性別があることを大っぴらにしてスキャンダルを巻き起こしたヴァイヤン、さらには北極星の騎士リンネ、自然史上もっとも不運な科学者の一人といわれるラマルク、そして「植物の壁」で日本でもよく知られる現代のパトリック・ブランまで―有名無名のボタニストたちの事績をユーモアあふれる筆致で綴る。
著者等紹介
ジャンソン,マルク[ジャンソン,マルク]
パリ国立自然史博物館の標本館を率いる少壮の植物学者。350年の歴史を有するこの標本館は世界最大級の規模を誇り、800万点におよぶ植物標本を収蔵する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
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著者のマルク・ジャンソンはヤシの研究者で、パリ国立自然史博物館の植物標本館の館長。 植物/植物学/植物学者にまつわるエッセイである。どちらかというと文学好きのひとにアピールするタイプの文章だろう。植物にまつわるさまざまなものごとを、ふわっとしたイメージで並べていく感じの本だ。 近代のフランス人植物学者たちの熱帯地域での採集と、しばしば悲劇的な最期を迎えたこと。自身のヤシ研究と中国への採集旅行のこと。植物標本館の歴史や建物と、個性的な研究者についてなどなど。 横組み。 2021/06/06