内容説明
H・P・ラヴクラフトのフォロワーとして、十代でアーカム・ハウスよりデビューを果たしたラムジー・キャンベルは、半世紀を経て英国有数の恐怖小説の大家となった。その彼が、初期の代表作に数えられる「湖の住人」の後日談にして、自身が生み出した神話典籍『グラアキ(グラーキ)の黙示録』を巡る物語の終着駅として二〇一三年に送り出したのが、本巻収録の「グラアキ最後の黙示」だ。『グラーキの黙示』の末尾を飾るのにふさわしい作品である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
warimachi
2
クラファン参加しそこねたことに気づいた。2025/01/19
Smith, Ordinary. Person.
1
ブリチェスター大学で公文書の収集、分類や保管を担っているレナード・フェアマンは、ある目的のために、海沿いにある田舎町ガルショーを訪れた。それは、悪名高い稀覯書『グラアキの黙示録』を手に入れること。町に着いたその晩に提供者の元を訪れたレナードだったが、彼から受領したのは全九巻本の内の一冊だった。残りについて尋ねると、提供者は残りを持っている人物を彼に伝える。次々にたらい回しにされ、町を巡りつつ、着実に本を回収していくレナードだったが、それに連れて、町の雰囲気もまた徐々に妖しさを増していく――。2024/12/21
アル
1
全編、寂れた海辺の観光地の空気感と、じっとりとした不快感が徐々に強まっていく感覚に満ちている。 ラヴクラフトのインスマスが魚の生臭さだとしたら、ガルショーはかび臭さの混じったクラゲや海綿の様相だろうか。 ドイツ語版から採録されたT.E.D.クラインの解説もかなり良かった。 残念ながら、相変わらずタイプミスや誤変換の校正漏れが多い。2024/12/09
ハイランス
1
ラムジー・キャンベル著の中編小説「グラアキ最後の黙示」を収録。 クトゥルフ神話のラブクラフトの魔導書ネクロノミコンに対応するのが、ラムジーの魔導書グラーキの黙示録。 図書館職員のフェアマンはグラーキの黙示録全9巻を寄贈すると言われてガルショーの町まで受け取りに来たが、なぜか1冊ずつしか渡してもらえない。 少しずつ受け取り、魔導書を読み進めていくことで奇妙な町の事件に取り込まれ・・・というホラー。ラブクラフトテイストな怪奇事件が堪能できて良かった。2024/11/24
flatscan
0
読了。主人公が仕事上の成り行きから「グラアキの黙示録」を全巻揃えようとする話。ガルショ―の住人からそれぞれ本を受け取るだけの簡単なお仕事のはずが…。何日もかかるわ、周囲の連中はみんなどこかおかしいわで散々な目に。ラストの展開は概ね予想できるが、この物語はそういう作品ではない。これは、ガルショ―の町に呼ばれた主人公を取り巻くひたすら不穏な空気を楽しむ物語。繰り返されるキャッチコピー。じっとりとした握手。馴れ馴れしい住人達。ずれた視線。思わせぶりな台詞。…今から再読するわ。2024/11/18