内容説明
HIV/エイズに特化した緩和ケア病棟として創設された371病棟では、死と隣り合わせの患者と接する日常がくりひろげられ、エイズに対する恐怖がパニックを引き起こしていた。著者自身による1994年から2000年までのHIV/エイズケア病棟での看護師勤務経験に基づく回想録であり、当時の貴重な証言の記録でもある。
著者等紹介
サーウィック,MK.[サーウィック,MK.] [Czerwiec,MaryKay]
ロヨラ大学(イリノイ州)英文科卒業後、ラッシュ大学にて看護師の学士号取得。ノースウェスタン大学大学院医学人文学・生命倫理学研究科にて看護学修士号を取得。1994年から2000年までHIV/エイズケア病棟看護師として勤務。2000年からは自身のウェブサイトを中心に「コミックナース」の名前で作品を発表。2007年からはイアン・ウィリアムズと共にグラフィック・メディスンの活動を展開。グラフィック・メディスンの概念を提唱した共著『グラフィック・メディスン・マニフェスト―マンガで医療が変わる』(北大路書房、2019)は、この分野の基礎文献となる
中垣恒太郎[ナカガキコウタロウ]
1973年広島県生。専修大学文学部英語英米文学科教授(アメリカ文学・比較メディア文化研究)。日本グラフィック・メディスン協会代表
濱田真紀[ハマダマキ]
1973年長崎県生。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こうすけ
23
とても良かった。不思議な味わい。90年代から、HIV病棟で看護士をしていた作者のルポルタージュ漫画。エイズ=不治の病というイメージは現在も根深いが、今や発症の抑制も可能となり、なんなら根治までできるようになったらしい。漫画ではそこに至るまでが題材となっており、死を受容することのとてつもない恐怖と不安、死は安らぎであるという綺麗事では済まない世界、それを支える人たちの葛藤が描かれている。よく考えるとかなり深刻な内容だが、やわらかな絵柄によって、息詰まることなくするする読める。読後感もさわやかで希望がある。2022/01/14
緑虫@漫画
0
★★★☆ 1993年から2000年にかけてシカゴの病院のエイズ病棟に看護師として勤めていた作者自身の記録。死の病でありかつ患者が社会的から恐怖の目で見られていた当時、患者に対してプロとして接するだけでは十分ではなく、より親しく、場合によっては友人としても関わりを持っていたという。そこで受けたかけがえのない経験も心理的傷も描かれているが、シンプルな絵柄のおかげで読者としては適度な距離感で読むことができる。2022/02/12
緑虫@漫画
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★★★☆ 1993年から2000年にかけてシカゴの病院のエイズ病棟に看護師として勤めていた作者自身の記録。死の病でありかつ患者が社会的から恐怖の目で見られていた当時、患者に対してプロとして接するだけでは十分ではなく、より親しく、場合によっては友人としても関わりを持っていたという。そこで受けたかけがえのない経験も心理的傷も描かれているが、シンプルな絵柄のおかげで読者としては適度な距離感で読むことができる。2022/02/12
brzbb
0
"人々は誰しも「かわりばんこ(テイキング・ターンズ)」に病気になる"。90年代のHIV/エイズケア病棟で看護師として勤務した著者の体験記。当時は社会的な偏見や恐怖も強烈だっただろうし、有効な治療法がなくて患者がどんどん亡くなっていったり、とんでもなく過酷な日々だったに違いないけど、淡々とした語り口で描かれる。死や差別に直面する患者たちの絶望、恐怖、孤独を緩和しようとする医師や看護師たちの思いやりや使命感に仄明るい希望を感じる。2021/12/12




