内容説明
三百年生きるといわれる魔法使いは、自分の弟子と宿命づけられた人間の子に魔法を伝授してから、死者の世界(ゴーストワールド)へと退いていく。だが、猟師マリュータは愛息アンブロージをよこせという魔法使いクズマの要求をはねつけた。それが世界をどんな不幸に陥れるかも知らず…。是が非でも弟子を手に入れようとするクズマの呪いは、やがてマリュータ父子のみならず、平和に暮らしていたトナカイを追う人々にも過酷な運命をもたらすのだった!英国発ダーク・ファンタジーのシリーズ、第二弾。
著者等紹介
プライス,スーザス[プライス,スーザス] [Price,Susan]
1955年、英国ウェスト・ミッドランズ生まれ。18歳で作家デビューし、1980年代に歴史ファンタジーで高く評価される。1987年に『ゴーストドラム』(The Ghost Drum)でカーネギー賞、1999年に『500年のトンネル』(The Sterkarm Handshake)でガーディアン賞を受賞
金原瑞人[カネハラミズヒト]
1954年生まれ。翻訳家、法政大学社会学部教授。フィクション、ノンフィクション、児童書など、多ジャンルにわたって翻訳を手がけ、特に海外のYA(ヤングアダルト)作品を精力的に翻訳し、日本に紹介(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あたびー
39
ゴーストドラムで敵役であった魔法使いクズマの物語。長い間待った弟子が生まれ変わり引取りに行くと、猟師の父親は頑としてその子を渡さない。クズマは遊牧民の村へ行きそこで別の子供を取ろうとするが、そこでも断られて彼らに呪いをかける。登場人物は、クズマ、漁師の父子、遊牧民も皆苦しみ、たくさんのものを失う。死の国のイメージは天国でも地獄でもなく独特だが、極地法の神話に沿っているのだろうか?猫が語る物語は静かで残酷で冷たく、しかし厳然として人間が生きている。2023/08/03
topo
8
これは凄い。前作を凌駕する面白さ。魔法使いクズマに逆らう者たちの苛烈な運命に頁を捲る手が止まらない。クズマもまた不幸であり不幸が渦巻く展開ながらオーロラのような凛とした光も併せ持つ。不思議な余韻にいつまでも浸りたい一冊。2021/02/20
タカラ~ム
8
「ゴーストシリーズ」の第2作。前作「ゴーストドラム」でチンギスの敵役だったクズマの物語。ある夏至の日に猟師マリョータに息子アンブロージが生まれた。そこにクズマが現れ、赤ん坊を弟子のよこせと迫るが、マリュータがクズマの要求を拒否したことで狂いが生じることになる。怒り、嫉妬、憎悪。クズマを取り巻くのは負の感情である。そうした負の感情によって生きるクズマは、ある意味で私たちの姿を映し出したキャラクターなのかもしれない。2020/08/31
八角屋
4
クズマも含めて、登場人物全員が気の毒(゚ーÅ) 世の中、なんて理不尽なんだ。でもこの世界観はキライじゃない。さーて、ゴーストダンスが楽しみだ♪ 2021/04/13
Mari
4
「ゴーストドラム」の続編。厳しい自然の中で助け合い生きていく人々、しかし魔法使いの邪悪な思惑は容赦なく彼らの人生をさらに過酷にしていく。大人が読んでこそ意味がわかる物語だと思った。2021/01/31