内容説明
「近代国家」として成立したにもかかわらず、日本はなぜ天皇制という君主制を採用したのか。また君主制にもかかわらず、君民一体という共和主義的志向性が密かに湧出されてくるのはなぜか。天皇制とデモクラシーはどう調和できるのか。無政府主義者・幸徳秋水や大正期を代表するデモクラットの吉野作造と代議制への批判者であった上杉慎吉、さらに戦後の中曽根康弘の共和主義思想までを分析しつつ、日本にとって国体とは何か、なぜそれが天皇と人民との人格どうしの法外の結びつきとして求められ続けなければならなかったのかを考察する。
目次
序章
第一章 明治憲法体制のなかの天皇制―主権と臣民
第二章 無政府主義と国体―「動物的自由」から「道徳的自由」へ
第三章 デモクラシーによる立憲主義―国体とデモクラシー
第四章 立憲主義を支える感化空間―個人のなかの立憲主義
第五章 君民協同のデモクラシー―君主制を媒介とする共和主義的志向
第六章 国民協同の国家とその基底としての天皇制―中曽根康弘の天皇論と国民主権論
終章
著者等紹介
住友陽文[スミトモアキフミ]
関西大学文学部史学地理学科卒業、関西大学大学院文学研究科日本史学専攻博士後期課程単位取得退学。博士(人間科学)。現在、大阪公立大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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イボンヌ
2
参政党や日本保守党が登場してきて、これから国体というものが再び議論されるようになるのでしょうか。 手元に置いて読み返したい一冊です。2025/05/29
Master
1
明治から戦後にかけて国体や天皇がどう捉えられ、それが政治とどう結びついたのかを考える上で非常に参考になる。特に吉野作造の国体論において、普選を国民意識形成回路として位置づけていたという指摘は非常に勉強になった。また中曽根の国体観、天皇観はこれまで考えてもみなかったことなので新鮮だったのはもちろんのこと、それが首相公選制という形で共和的性格を帯びていたという点が非常に勉強になった。 天皇についての議論が俄かに活発になった今こそ、先人たちが国体や天皇をどう認識してきたのかを考えることがとても重要だと考える。2026/04/06




