内容説明
牛が田畑を耕す役用牛として農民と共に力強く働いていた光景、それはもはや人びとの記憶から失われ過去のものとなってしまった。しかし、かつて一五〇万頭をこえる朝鮮牛が海を渡り、日本の地で人びとと共に働き、日本の人びとと濃やかな関係を結んでいたのである。本書は、日本と朝鮮の間の歴史をふまえつつ、日本を生きた朝鮮牛をめぐる記憶の糸を掘り起こし、その近代史を織り上げ、未来に向けた日本・コリアの対話の道をさぐっていく。
目次
はじめに―韓国晋州の闘牛大会から
第1章 朝鮮農業と朝鮮牛―牛の役利用を支えた慣行・制度
第2章 朝鮮牛の移出が始まる(移出入第一期)―牛が渡った「海の道」
第3章 検疫制度を中心とする機構整備(移出入第二期)―朝鮮牛移出入の国策化
第4章 「帝国」を生きた朝鮮牛―本国・植民地を貫く農業政策のもとで
第5章 戦時期の朝鮮牛(移出入第三期)―軍需と戦時「動員」
第6章 松丸志摩三 その人と思想―朝鮮の「農」と総督府「農政」の間で
第7章 朝鮮牛の「現在」―日韓の農畜産業をめぐって
おわりに―いのちの論理へ
著者等紹介
竹国友康[タケクニトモヤス]
1949年生まれ。1973年、京都大学文学部卒業。元予備校講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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