内容説明
沖縄の人々は沖縄戦から米軍占領下の戦後にかけて、戦場での彷徨・避難、収容所への移動から帰還、さらに海外からの引揚げなど、生活を破壊され移動に次ぐ移動を強いられた。本書は、これまでの歴史叙述が取りこぼしていた人々の生活の場(生活圏)に注目し、米軍占領下の復興というものがいかなるものであり、ある復興が別の復興を妨げてしまうという「復興の異音」に耳を傾けながら、戦後沖縄の原風景を生身の人間の姿に即して描き出す。巧妙に占領への協力が作り出され、窒息しそうな社会の中でも、希望の兆しを人々は生活の場からいかにして創り出していったのか。
目次
序章 戦後沖縄 占領下の生活・生存/復興の中の「異音」
第1章 ミシンと復興―女性たちの「生活圏」と共助
第2章 移動と引揚げがつくった「金武湾」という地―米軍占領下、沖縄の生存と労働
第3章 「復興」の中の離散―垣花と軍港で働く人々
第4章 「復興」に奪われた真和志村
第5章 「オフ・リミッツ」と「米琉親善」による境界編成
第6章 「アカ」と「第一次琉大事件」
終章 「気持ちまでは取られない」
著者等紹介
謝花直美[ジャハナナオミ]
1962年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了(博士、文学)。現在、沖縄大学地域研究所特別研究員、沖縄大学・沖縄国際大学非常勤講師、沖縄タイムス記者。専門は、沖縄戦後史、沖縄戦(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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二人娘の父
12
戦後沖縄の極めて貴重な生活史記録である。戦後復興のなかで生きるために、当時の沖縄県民(特に那覇の人たち)が具体的にどんな経験をしたのか。これまで知ることがなかった、さまざまな歴史の断面を教えてくれる。未亡人となった女性たちがミシンを「武器」に生活を再建する姿や、翁長雄志前知事の父が市長を務めていた真和志市の歴史なども興味深い。沖縄の戦後復興史であるとともに、郷土史としても貴重である。2022/02/19
Y_Kuroyanagi
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20211226ー202201152022/01/15