内容説明
戦後日本において、活躍する“農村女性”は民主化による女性解放のモデルともされてきた。しかし、女性がよりよく生きられることをめざすとりくみを、「抑圧から解放され、活躍へ」という「エンパワーメントの物語」としてのみ語ることは、女性の抑圧の構造的要因を温存しながら、そこから目を背けさせてきたのではないだろうか。1950年代から60年代の農村女性政策を、活躍する“農村女性”がつくられる過程ととらえ、グローバルな問題にも位置づけつつ、それが何を不可視化してきたのかを問う。
目次
第1章 つくられる“農村女性”
第2章 エンパワーメントの対象としての“農村女性”の発見
第3章 生活改良普及員によるエンパワーメントの実践
第4章 エンパワーメントされた“農村女性”として書く
第5章 地域社会における“農村女性”の構築―京都府旧久美浜町を事例に
終章 “農村女性”のつくられ方
補論 “農村女性”から「農業女子」へ?
著者等紹介
岩島史[イワシマフミ]
1985年兵庫県生まれ。京都大学大学院農学研究科博士後期課程研究指導認定退学、博士(農学)。現在、同志社大学政策学部助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。